昨年８月の「五稜郭まちなかフェスティバル」ではテーオーデパート屋上も会場となり、多くの市民でにぎわった。

　８月末での閉店が発表されたテーオーデパートがある函館市梁川町は、多くの飲食店が立ち並ぶ繁華街の本町エリアとともに五稜郭地区の振興を担ってきた。閉店が街のにぎわいにどう影響するのか、商業施設や商店街の関係者は思いを巡らせている。

　昨年８月、五稜郭地区のにぎわいを創出しようと開かれた市の主催イベント「五稜郭まちなかフェスティバル」では、同地区の商業施設や公園を会場にライブ、物販などさまざまな催しを展開。その会場の一つとしてテーオーデパートでは約５年ぶりに屋上を開放。ご当地ヒーローショーなどを目当てに多くの市民でにぎわった。

　同デパートとともに参加し、イベントを盛り上げた本町の商業施設・シエスタハコダテの統括責任者、岡本啓吾さん（３７）は「イベントでは五稜郭地区の商業施設として一体になれただけに閉店は残念」と話す。岡本さんはシエスタオープンの２０１７年から施設に携わり、２０年以降は新型コロナウイルスの影響を受けながらも、日々五稜郭のにぎわい創出と向き合ってきた。「本町は交通アクセスが良く、繁華街である一方、オフィスもある。多様な人が集まってつながり、人流が生まれる拠点」とし「これまでともに五稜郭地区のにぎわい創出を担ってきただけにさみしくなる」と語る。

　本町、梁川町の飲食店や小売店６４店舗が加盟し、テーオーデパートも準会員となっている五稜郭商店街振興組合の中里好之理事長（７６）は「地元企業のデパートで人気もあり、五稜郭地区にとっては大きな損失。食料品を買いそろえていた近隣住民は不便になるのでは」と懸念を示す。テーオーデパートの伊藤由喜社長からは「『商店街との融合で地域を活性化したい』という思いを聞いていた。地域への理解を感じられる店だった」と惜しみ、閉店後の建物に関しては「地元のためになるよう活用してくれると期待している」と思いを込める。