水素活用、給湯に 室ガスなど8者、工大宿舎で実証【室蘭】
室蘭ガス(室蘭市日の出町、末長守人代表取締役社長)を代表事業者とした、既存インフラ活用による水素供給の低コスト化を目指す環境省のモデル構築実証事業が6日、本格的に始まった。室蘭工業大学職員宿舎(水元町)の一室を活用。水素から電気と熱を生成して、熱エネルギーを室内の給湯器に用いることで、新エネの有効性を検証する。
事業は、市と室蘭テクノセンター、室蘭工業大学、産学連携機構九州、大成建設、エア・ウォーター北海道、北弘電社が連携する。市が所有する祝津風力発電所で発電した電気を使い、水電解装置で水素を製造。一般家庭や小規模店舗などでの活用を進めて、製造と貯蔵、配送、利用までのサプライチェーンを構築するスキーム。
既存のガス配送網を活用する。ガスタンクの他に、円筒型水素吸蔵合金タンクを車両に混載。家庭などに配送する流れだ。
今回は、エア・ウォーター北海道の水素を活用する。職員宿舎敷地内にコンテナを2台設置して、内部に水素吸蔵合金タンクのほか、水素を電気と熱に変換するシステムを整備する。対象の部屋に熱を供給して、給湯器としての利用が可能か検証する。
6日からコンテナ設置などの工事が、職員宿舎敷地内でスタートした。3月末までを計画しており、その後実際に熱を供給する検証に入る。
今後は、多様な用途での検証も予定している。飲食店向けの活用として、くじら食堂への供給を計画。ロードヒーティングでは、室蘭テクノ内を想定するなど、宿泊施設やものづくり企業での実証も行い、他業種での展開を目指す方針だ。室蘭ガスの前山芳輝常務取締役営業部長は「データを蓄積し、水素の有効活用策を探りたい」としている。
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