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室蘭民報

全国舞台へ再び前進 障害者水泳2種目「金」登別の髙野さん【登別】

これまでの活動を笑顔で振り返った髙野さん

難病と闘い「明るい話題を」

 昨年12月に開かれた第22回全国障害者スポーツ大会(栃木県)の水泳競技障害別シニアの部に出場し、2種目で金メダルを獲得した登別市鷲別町の髙野幹雄さん(73)が、難病と闘いながら再び全国舞台を目指している。「高齢でも、地域に明るい話題を届けるために頑張りたい」と話し、練習に励んでいる。

 室蘭市出身で、中学から水泳を始めた。高校卒業後に地元の港湾関係の仕事に従事したが、24歳の時に労災で左腕を失った。社会人になってからも続けていた水泳から離れることになったが、「生きていられることが幸せ」と前を向いた。

 それからは接客業と営業職に勤め、妻・京子さん(70)と笑顔を絶やさず生活してきた。左腕がなくても、冬には自宅周辺の雪かきをこなすなど人一倍活発に過ごしてきた。「体を動かせば気持ちも元気になる」と考え、老人クラブの活動などにも積極的に参加してきた。

 難病が発覚したのは43歳の頃で、C型慢性肝炎を患った。薬の副作用に侵されながら、約20年間闘病を続け、症状を抑えることができた。

 体調が回復した65歳の時、「若かった頃のように、また元気に泳ぎたい」と思い立った。週3、4回プールに通い、片腕だけでも泳げるように練習。最初は水に浮かぶだけでも苦労したが、体の使い方を工夫し、沈まないようにスピードを出す泳法を身に付けた。現在は25メートルを息継ぎなしで泳ぎ切ることができる。

 この年から、毎年9月に札幌市で開かれている北海道障がい者水泳大会に出場。レーンを泳ぐ際に、片腕だけで真っすぐ進むことが難しかったが、練習に打ち込み感覚を養った。

 この大会への連続出場回数などが評価され、2016年には全国障害者スポーツ大会に北海道選抜選手として初出場。25メートルバタフライと同背泳ぎで金メダルを獲得。昨年の大会でも同じ2種目で金メダルを手にし、「体が不自由でも、年齢を重ねていても、やろうと思えばなんでもできると証明できた」。

 現在も3カ月に1度、検査のため通院しながら水泳を楽しむ。「命が脅かされることもあったが、明るく生きてこられたからいまがある」と、満面に笑みを浮かべる。これからも病気に負けない体づくりを続けながら、努力の末に手に入れた金メダルのように人生を輝かせる。

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