〝青山ブルー〟後輩にバトン 河野さん根室高に画集寄贈【根室】
【根室】根室で青春時代を過ごし、フランスの画家アンリ・マティスに才能を認められた洋画家、青山義雄氏(1894~1996年)の画集が根室高校美術部に寄贈された。「色彩の魔術師」「青山ブルー」など独特な評価を得ていた青山氏の色彩感覚は「根室の実体験で得られた」との声もあるほど。全国大会初出品を決めるなど近年、活躍が目覚ましい同校美術部に、先輩からのバトンが託された。
寄贈者は、両親が青山氏やおいの青山太郎氏(九州大学元名誉教授)と親交のある市内在住の河野伸夫さん(87)で「美術部員が活躍しているニュースを拝見し、国際的な評価を得ている根室ゆかりの青山さんを知ってもらい、今後の創作活動の参考にしてほしい」と、昨年12月27日に根室ゆかりの作品も掲載されている画集「AOYAMAYOSHIO1」「同2」(青幻舎2017年12月発行、各144㌻、各3700円)を贈った。
青山氏は横須賀生まれ。9歳の時に父親の転勤で根室市へ。花咲小学校を経て根室実業学校(現根室高校)に入学するも画家を志し16歳で中退、上京し、独学で絵を学んでいたが父親の看病のため19歳で戻り、27歳でフランスへ渡るまで根室で過ごした。
32歳の時、ニースの画廊で同氏の色彩表現を称賛したマティスを師事することに。102歳で亡くなるまで創作活動を続け、独特の青が「青山ブルー」などと評された。同氏と親交のあった画商、林修さん(88)=鎌倉市=は昨年発行の著書で「青山を知るため根室へ。詩的とさえ言える天性の色彩感覚は、根室で自然発生的に培われた」と評している。
根室高校美術部は、公募展「第103回釧美展」新人賞(21年)、昨年は「第76回全道展」に2人が入選。部長の佐藤由乃さん(2年)は、高文連の全道大会で上位10位に選ばれ、歴史ある美術部初の全国出品を決めている。
青山氏の存在を知った佐藤部長は、青山ブルーに「独特の青がかわいい。あえてはっきり描かないのか、表現力がすごいと思う」と話し、本村香(か)穏(のん)さん(1年)は「色使いが面白い」と中退とはいえ、大先輩の残した作品に感動していた。
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