室工大初、修士2年・川井さんが水工学論文奨励賞受賞 豊平川の災害予測研究【室蘭】
室蘭工業大学大学院の川井翼さん(24)=修士2年=が、土木学会「水工学論文奨励賞」を受賞した。水工学論文集に掲載された254件の論文から、奨励賞に選ばれたのは4件。同大初の快挙に「自分の研究が客観的に評価されてうれしい」と達成感をかみしめている。
奨励賞は、論文が独創性と発展性に優れ、水工学の発展に貢献することが期待される内容かつ、水工学講演会での発表が明快で要領を得ていた32歳以下の若手研究者を表彰している。
川井さんの論文「大量アンサンブルデータを用いた急流河川の浸食危険度の評価」は、近年増加している“過去に例がない”気象条件にも対応できるよう、さまざまな条件を計算して予測に幅を持たせた。
札幌市の中心部を流れる豊平川の過去60年分の降雨データを参照し、現在起こり得る河川災害を3千通り、地球温暖化などで平均気温が4度上昇した場合を想定し、さらに5400通りのシナリオを作成した。
豊平川へフィールドワークを行い、河川を管理する北海道開発局の担当者から話を聞くなど、実践的な研究も積み重ねた。川井さんは「研究室の仲間や外部の方にもサポートしていただいた」と感謝する。
指導に当たった中津川誠教授は「土木分野の研究は社会的なアピールが大事。災害のリスクがあるとすれば、札幌市としてどういう危機管理や防災の体制が必要かを考えることも大切。それが研究のモチベーションにもなる」と話す。
川井さんは苫小牧工業高等専門学校から学部3年次に室工大へ編入。小学生の頃から興味があった河川研究に没頭した。河川の計画・設計に携わる建設コンサルタント会社へ内定している。「みんなの憩いの場にするためにも、防災面もしっかりと考えた河川をつくっていきたい」と抱負を話している。
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