国立函館病院大塚医師「若手研究者賞」受賞 ワクチン接種後の抗体価の検討【函館】
国立函館病院(岩代望院長)呼吸器科の大塚慎也医師(31)が、11月に韓国で開かれた第26回アジア太平洋呼吸器学会で「若手研究者賞」を受賞した。同病院の職員に対して行ったワクチン接種について抗体価(ワクチン接種によって得られる抗体の量)の推移などをまとめた研究が高く評価された。大塚さんは「協力してくれた職員全員でもらった賞」と喜んでいる。 大塚さんは札幌市出身。昨年4月から同病院に勤務している。今回受賞した演題は「当院における新型コロナウイルスワクチン接種後の抗体価の検討」。若手研究者賞は39歳以下が対象。大塚さんが今回の最年少だったという。
研究は、同病院の職員を対象にし、ワクチン接種後の抗体価と感染予防効果の推移について調べた。2回目接種の5カ月後と9カ月後を比較すると、抗体価の中央値は28%低下。3回目接種の2週間後には44倍と劇的に上昇し、3カ月後には緩やかに低下したことが分かった。
また、2回目接種後の調査で、年齢は高齢より若い人、男性より女性の方が抗体価が高い傾向にあることなどをまとめた。
大塚さんは大きな賞を獲得するのは初めて。「病院のみんなが協力してくれたおかげで研究できたので、多くの人に見てもらいたいということだけを考えていた。受賞は予想外だった」と話す。
今年2月に同病院で発生したクラスターについても研究に盛り込んだ。「職員みんな苦しい思いをした。研究という形で誰かに伝えることができれば、自分たちの苦い経験がプラスに変わるのではという思いだった」と振り返る。
また、「目の前の患者さんの対応をしっかりやった上での研究。ただ、それだけでは分からないこともあるので研究もまた重要。コロナの状況は最初の頃とはずいぶん変わっている。今後ワクチン接種をどうすればいいのかを研究したい」と抱負を語った。
岩代院長は「臨床も研究もこなす素晴らしい医師。受賞はとてもうれしい。大学病院ではなく、地方の病院でもしっかり研究ができ、賞を取れることを示してくれた」とたたえた。
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