苫小牧市 認知症サポーター3万人に 記念セレモニー開催
認知症の人や家族を地域で支える苫小牧市内の認知症サポーターが9日、3万人に到達した。近年は次世代を担う子どもたちをサポーターとすることに力を入れており、豊川小学校(高城哲校長)の児童を対象とした養成講座で達成。この日、節目を祝うため、同校で記念セレモニーが行われた。
認知症サポーターは認知症を正しく理解し、当事者や家族のために自分なりにできることを考え、実践する地域の応援者。厚生労働省の提唱で、2005年度に各地で養成講座が始まった。
苫小牧では翌06年度にスタートし、初年度は40人のサポーターが誕生。その後も講師の資格を持つ人らでつくる苫小牧キャラバン・メイト連絡会(事務局は苫小牧市)が中心となって、町内会や企業、市民向けの養成講座を重ね、順調に数を増やしてきた。
大きな転機となったのは、小学生向けのキッズサポーター養成講座を始めた11年度。受講者が一気に増え、この年に誕生したサポーターは前年度比1871人増の2676人に上った。講座開催の動きは中学校や高校などに広がり、19年度は過去最多の3359人を養成。コロナ禍に見舞われた20年度以降も、年間約2000人のサポーターが誕生している。
9日、豊川小で開かれた養成講座は5年生50人が受講。同連絡会による寸劇や講話を通じ、認知症の人が感じる不安や困り事、適切な関わり方などを学んだ。千葉凱さん(10)は「認知症は種類によって症状が違うことを学んだ。困っている高齢者に、優しく声を掛けることを心掛けたい」と話した。
橋本玲尚さん(11)は「認知症になったら暮らしがつらくなり、みんな施設に入ると思っていたけど、サポートがあれば家でも生活できることを知った」と述べ、地域の支援の大切さを実感した様子だった。
セレモニーでは、市の公式キャラクター「とまチョップ」がキッズサポーターの証しであるオレンジ色のバッジを児童に贈呈。認知症サポーターはこの日で3万41人になった。
市福祉部の中村圭吾次長は「認知症サポーターの3万人の1人として、学んだことを忘れないで、優しい気持ちで接して」と呼び掛けた。
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