学生たちに過労死防止を訴える村山さん

　「過労死を他人事ではなく、自分事として考えてほしい」―。釧路赤十字病院手術室に勤務していた男性が２０１３年に過労自死した問題で、札幌高裁の判決を待っている北海道過労死を考える家族の会の世話人代表で、男性の母の村山百合子さん（室蘭市）が６日、道教育大学釧路校で学生たちに過労死防止を訴えた。

　この日は、木戸口正宏専任講師が担当する生徒指導・進路指導の授業を受けている１年生が受講。はじめに今法律事務所の吉田翔太弁護士が労働問題や労働条件の基礎知識を解説。「私たちがすべきこと」と題して、どのようにして健康を維持しつつ仕事に取り組んでいくのか、学生たちに具体的な心の持ちようを述べた。

　吉田弁護士は「職場で腹の立つことはどうしてもある。しかし、感情をコントロールできなければパワハラ行為になることがある。どのようにストレスに向き合っていくのか考えてほしい」と訴えた。さらに、教職員の働き方改革について触れながら「教職員の残業問題は避けて通ることはできない。ぜひ自分事として考えて」とアドバイスした。

　引き続き、村山さんが「命より大切な仕事はない」と題して講演した。長男が遺書を残して自死した経過を語りながら「過重労働は人が倒れるまでは問題になりにくい。しかし倒れてからでは遅すぎる。困った時は声を出してほしい。小さな声でもたくさん集まれば変わっていく」と述べた。

　さらに「一人で悩まない。相談できる窓口、仲間はたくさんいます。仕事に疲れを感じたらちょっと休む。辞める選択も時に必要」と指摘した上で、全国での過労死問題の実情を紹介した。