多様性が導く成長物語に喝采 函館市民ミュージカル【函館】
函館市民ミュージカル2022「はこだてRap so Day(ラプソディ)」(実行委主催)が13日、函館市民会館で開かれた。仲良し3人組が函館山で出会った不思議な花の妖精たちと「義経伝説」をひもといていく成長物語。子どもから大人まで、障害の有無にかかわらず、出演者も観客も誰もが楽しめる作品となり、歌とダンスに乗せて函館の音や景色を届けた。
2020年度の公演を目指していたが、新型コロナウイルス流行の影響で延期していた。音楽ユニット・カポの高島啓之さんが脚本、演出を手掛けたオリジナル作品で、今年度の函館市民文化祭の舞台部門として上演し、約500人が来場した。
主演は、函館盲学校教諭で視覚障害がある池田サラジェーンさんが少女シズ、聴覚障害で人工内耳を使う函館深堀小学校5年生の中村楓果さんが少女ヨッチャン、友人の少年ケイは、函館少年少女合唱団団長の松浦与喜さんの3人。
3人は函館山で花泥棒を追い払ったことでエンレイソウの妖精レイ(高橋愛音さん)と出会い、花に宿る「静御前」(相田日芽さん)、「弁慶」(木村公一さん)、海の底に沈んだ「義経」(土橋アミさん)を救うことに。物語が進むと、その鍵が3人の歌にあることが分かっていく。
函館山の植物や函館の景色の映像を背景に劇が進み、劇中曲が終わるたびに客席から拍手が送られた。ヨッチャンが覚える体を楽器として表現するボディーパーカッションは幕間で高島さん演じるフブキが指導。客席も一体になってステージを作り上げた。
また、函館盲学校、函館聾学校、函館養護学校、道教育大学附属特別支援学校、函館高等支援学校の児童生徒、函館少年少女合唱団、函視協ひばりコーラスなどさまざまな団体がステージの内外で作品を支えた。手話、字幕、音声ガイド付きのバリアフリー講演となり、劇中のテーマ同様に多様な市民の力で文化をつないできた函館ならではの舞台となった。
島崎啓子実行委員長(函館ダンスアカデミー主宰)は「ゼロから始めて本番は100点以上の出来。コロナもあって不安の思いもあったが大きな輪になった。出演したことが一生忘れられない思い出になってほしい」と出演者をたたえた。
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