自身が達成した「継ぎ矢」を手にする田中さん

　【網走】網走南ヶ丘高弓道部の田中慶希さん（３年）が「継ぎ矢」を達成した。ゴルフのホールインワンよりも起こる確率は低いといわれ、弓道家でも一生に一度あるかないかという奇跡を実現し、田中さんは喜んでいる。

　弓道で、先に放った矢の後端に、後から放った矢の先端が当たり、２本の矢が１つにつながる状態を「継ぎ矢」と呼び、めでたいこととされてきた。

　ただし、後端に当たること自体がそうそうないのに、それが完全に刺さって１つにつながるというのは、なおさら起こらないもの。特に、矢の材質が竹やジュラルミンだったころは、後端に当たっても割れてしまったりはじかれたりするので、２本の矢がほぼ完璧にまっすぐな状態で当たる必要がある。

　近年の矢はカーボン製のため、竹やジュラルミンよりは刺さってつながりやすいとはいえ、両者が当たらないことには継ぎ矢は起こり得ず、珍しい現象には変わりない。

　中学生から弓道を始めたという田中さんは、３年生のため弓道部を引退しているが、大学でも弓道を続けてきたいと、後輩らに混じって練習を続けている。 　そんな田中さんに〝幸運〟が訪れたのは９月30日。同校の伝統行事「強歩遠足」の前日だったが、大会に出場する部員が自主練習をしていたため、一緒に練習していた。

　その時、射った１本の矢が的に当たった時とは違う音だったものの、特に気にせず練習を続けていたという。 　全部の矢を射り終え、後輩が的から矢を集めている時に「継ぎ矢」となっていることに気づき、弓道場は騒然。田中さんも継ぎ矢になっていることに驚いたという。

　それまでは矢を射ってもあまり調子が良くなかったが、継ぎ矢以降は調子も上がっているという田中さん。「弓道を６年間やっているが、継ぎ矢は初めて。自分で持っていてもいいが、弓道場に飾ってもらうのもいいかも。これからも弓道とかかわっていきたい」と話している。