「さぬきうどん」今月末で閉店 釧路で約40年 歴史に幕【釧路】
約40年の間、釧路の中心歓楽街で酔客などに愛されてきた「さぬきうどん」(栄町4、灘万ビル1階)が、31日に閉店することとなった。店主の近藤安貞さん(86)は「本当に長い間、多くの人に支えられてここまでこれた。いろいろなことがあったが、とても楽しく営業することができた。関わってくれたすべての人に感謝したい」と笑顔で語る。
同店は1983年、妻のミヨ子さん(81)と、現在の場所で営業を始めた。開店時は昼から深夜までの営業としていたが、飲んだ帰りに訪れる顧客が多かったことから、夜から深夜のみの営業とし、夫婦二人三脚で店を切り盛りしてきた。
近藤さん夫婦は同店を始める前、安貞さんの実家でもある「近藤製麺所」を引き継ぎ、釧路市の飲食店を中心にうどんやそば、ラーメンなどの麺の販売や食堂も開いていた。しかし、オイルショックなどの影響もあり経営が悪化し、店を閉めることに。その後、安貞さんが市内のすし屋でアルバイトをしていた時、知人から「店をやってみないか」と声を掛けられ、小さなころから自ら手打ちし、味にも自信があった、うどん一本で勝負したいと決め、同店の営業を始めたという。
今回閉店することにしたのは、昨年ミヨ子さんが交通事故に遭い、体に無理をかけられなくなったことや、元気なうちにゆっくり旅行に行きたいことなどから決めたという。二人はこれまでの営業を振り返り「店の真ん中で寝てしまう人や、ケンカを始める人。苦労することもあったが、この商売でしか経験することのできない、楽しい日々だった」と語る。
現在、店には閉店を知った常連客らが訪れ、最後のうどんを味わっているほか、近藤さん夫婦との思い出話を語らっている。最終日の31日までは開店時間を3時間早め、午後5時から午前2時まで休まず営業を続ける予定で、安貞さんは「店を閉めるのは寂しい気持ちもあるが、最後までしっかり仕事を全うしたい」、ミヨ子さんは「常連さんはもちろん、多くの人に感謝を伝えたいので、最後に足を運んでくれたら」と話している。
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