スマホ画面でリアルタイムに市電の混雑状況や位置情報が確認できるシステム

　ＩＴ（情報技術）関連会社「ネットリソースマネジメント（ＮＲＭ）」（東京）と「ハコレコドットコム（ハコレコ）」（函館市五稜郭町）、「ＮＲＩデジタル」（横浜市）の３社は、函館市電の運行情報をスマートフォン（スマホ）画面でリアルタイムに確認できるシステムを開発した。システムを活用し、市電の混雑回避や分散乗車促進につなげる実証実験を、１２月３１日まで実施している。

　ＮＲＭとハコレコは２０２０年、ＩＴを駆使した新しい働き方の創出などを目指す研究拠点「ワークラボ函館」を函館に設立。室内の湿度や温度、二酸化炭素濃度などのデータが取得できる環境センサーや、会話の要約などが可能な会話内容解析マイクなど、ＩＴ技術をフル活用した生産性向上に取り組んできた。

　今回の実証実験は、これまでの研究ノウハウを生かし、市電車両内に画像解析が可能なセンサーを設置し、取得したデータを基に混雑状況や車両の位置、進行方向などを把握。利用者が停留所に掲示した二次元コードをスマホで読み取ると、市電の混雑度や位置情報が表示される。利用者にはスマホを通じアンケート調査を行い、実証実験に関する意見や感想を募る。

　ＮＲＭの高野昌樹社長は「市電は函館市民、旅行者にとっても重要な公共機関。より多くの乗客に積極的に実験に参加してもらいながら、将来の地域発展につながる情報分析をしていきたい」とする。

　また、今後も３社が連携し、さまざまな研究や実験に積極的に取り組むとし、高野社長は「観光都市として認知度の高い函館だが、公立はこだて未来大や函館高専などで学んだ高い専門性を持った人材も豊富なので、これらを生かしながらデジタル技術の先進地を目指し、世界に向け新しい函館の魅力をアピールしていきたい」と意欲を見せている。