野付エコネットワーク1周年 記念講演で湿地の価値理解【標津】
【標津】野付半島の広域的な環境保護や持続可能な利用につなげるNPO法人「野付エコネットワーク」(会長・藤井薫野付半島ネイチャーセンター長、43人・団体)が設立1周年を迎えた。今月末には野付湾に注ぐ当幌川水系で、異なる自治体の農漁協関係者と共に植樹を行う。16日には町生涯学習センターで専門家を招いた記念講演会を開き、環境保全に関心のある人らが、道東の湿地が持つ価値に理解を深めた。
同半島は町と別海町にまたがる国内最大28㍍の砂(さ)嘴(し)で、ラムサール条約登録湿地。日本湿地学会副会長として湿地の調査研究で国際的に活躍する釧路公立大学名誉教授の小林聡史氏が記念講演した。同氏は1991年からスイスにあるラムサール条約事務局でアジア・オセアニア地域の条約振興や湿地保全促進に従事。93年の同条約釧路会議の運営にも関わった。水鳥の生息地としての重要性以外での賢明な利用(ワイズユース)は、現在のSDGs(持続可能な開発目標)にもつながるなどと説明した。
中標津、標津、別海を通り野付湾に注ぐ当幌川はほぼ人の手が入っておらず「水質維持の観点から保全が必要で、将来的にラムサール条約湿地に加えるべきでは」との参加者の問いに、小林氏は厚岸の別寒辺牛湿原を例に挙げ「可能性はある。保全に向け積極的に地元の声を届けてほしい」と呼び掛けていた。
藤井会長は団体設立の経緯や活動を紹介し、今月31日に野付漁協(別海)の協力で、計根別農協(中標津)と共催して当幌川水系で植樹を行うとし「行政区域や団体の枠を超えた初の活動。間をつなげていく活動ができたら」と今後を展望した。
同会は昨年10月に発足。半島付け根にある町茶志骨のカフェ兼コワーキングスペース「ポンノウシテラス」に事務局を置き、清掃や自然観察会などを月1~2回ペースで開催。将来的には漁協や農協、行政と連携する協議会を創設し、地域で持続可能な環境の利用について考える組織を目指している。活動の問い合わせはメールnotuke.eco@gmail.comへ。
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