北海道遺産に選定 仙台藩白老元陣屋 21年越しの努力実る
NPO法人北海道遺産協議会(札幌市)は、白老町陣屋町の国指定史跡「仙台藩白老元陣屋」を新たな北海道遺産に選定した。道と同協議会が14日までに公表し、町内の関係者は「諸先輩の努力や有志の協力が結実した。非常にうれしい」と喜んでいる。
北海道遺産は後世に引き継ぎたい自然、建造物、文化などを選ぶもので、新たな候補は昨年10月から今年2月まで募集。31件の応募の中から6件が選ばれ、計74件となった。
仙台藩白老元陣屋は1856(安政3)年3月、ロシアの南下を警戒した江戸幕府が仙台藩に北方警備を命じて築かせた防衛拠点。戊辰戦争が起きた68(慶応4)年7月までの12年間、藩兵約120人が常時駐留した。
1905(明治38)年に藩士の墓が見つかったことで、町民有志による史跡保存会の前身組織「青葉会」が誕生。元陣屋跡は66年に国指定史跡となった。81年には町と仙台市が歴史都市提携を締結し、84年に仙台藩白老元陣屋資料館が元陣屋跡に併設して開館。藩兵の武具や元陣屋の絵図面などの資料を展示し、講演会なども開いて来館者に北方警備の歴史を伝えている。
選定では、展示案内や清掃などに官民協働で取り組む活動の在り方も評価された。同資料館のボランティア「仙台藩白老元陣屋資料館友の会」(会員27人)の川西政幸会長(79)は喜びとともに「北方警備の歴史を伝える重要な場所」を守る決意を新たにしている。
同史跡は2001年の北海道遺産第1回選定で落選した経緯があり、21年越しに努力が実った。同資料館の武永真館長(59)は「年月はかかったが、友の会の皆さんとの活動も含めて評価されてうれしい。今後も史跡の保存管理と活用を図り、元陣屋跡の魅力の発信に努めたい」と語った。
胆振管内での北海道遺産の選定は、むかわ町穂別の古生物化石群などに続き5件目。
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