「石炭列車」解体へ 売却先決まらず【釧路】
鉄道愛好家でつくる釧路臨港鉄道の会(星匠代表)は29日、2019年に廃止された旧太平洋石炭販売輸送(現・新太平洋商事)の『石炭列車』が解体されることを明らかにした。売却先が決まらなかったためで、同会では「石炭列車の記憶を何らかの形で残せないか模索していく」としている。
石炭列車は19年6月末の廃止以降、旧春採駅に留め置かれた状態で、第2の働き先を模索していた。同社によると、保安列車2両が同年に売却され、残る機関車4両、貨車28両も中古の鉄道車両を扱う業者との売却契約を結んでいたものの、新型コロナウイルスの影響で引き取りが遅れ、コンテナの手配ができないことや原油の高騰といった昨今の要因が重なり、業者からの申し出で売却契約を解除。一時保存の意思を示していた同会も維持経費の捻出などが困難とし、やむなく解体が決まったという。
同会によると、旧太平洋石炭販売輸送臨港線は1925(大正14)年2月11日、太平洋炭礦の石炭を釧路港へ輸送することを主目的に、釧路臨港鉄道の春採―知人間(4・1㌔)で開業、翌年には旅客営業も始まった。路線は徐々に延長され、最長時には入舟町(現在の港文館)─知人─春採─東釧路(国鉄と連絡)─城山(久寿里橋たもと)と橋南地区をほぼ一周していた。
その後、トラック輸送の台頭などで輸送量が減少、1963年には旅客営業を廃止。86年からは春採―知人間のみでの輸送となった。太平洋炭礦閉山後も釧路コールマインの石炭を運んでいたが、完全陸送への移行が決まり、2019年3月30日で運行休止、同年6月30日で全線廃止となった。
現存車両は10月から、旧春採駅で解体される予定で、年内には作業を終わらせる見込み。車両番号のプレートなど部品の一部は市や同会に寄贈される計画があるが、一般向けへの部品販売の予定はない。
同会では「2019年4月に石炭列車のさよならセレモニーを企画し、その後の車両の行く末を案じていたが、解体が決定して残念」としている。
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