英女王 味わった十勝ワイン 「セイベル9110」今も町に【池田】
8日に96歳で死去した英国のエリザベス女王と十勝ワインの間には縁があった。十勝ワインの製造を手がける池田町ブドウ・ブドウ酒研究所によると、エリザベス女王は1975年5月の来日時、東京で開かれた昼食会で十勝ワインを口にした。当時のワインは、ワイン城1階で展示されている。
エリザベス女王が口にしたとされる十勝ワインは、72年に収穫された「セイベル9110」で仕込んだ白ワイン。エリザベス女王はその風味の良さを評して「ワインは見かけではありません。中身です」と発言したとされる。
74年から町職員として同研究所に勤務した廣瀬秀司さん(71)=めむろワイナリー相談役=は当時について「昼食会で十勝ワインを召し上がるということを私は事前に知らず、東京方面の新聞報道で初めて知った。その後電話でエリザベス女王が飲んだワインはないかという注文が殺到した」と振り返る。
廣瀬さんらによると、セイベル9110は、海外から導入した品種で、72年のブドウは池田から後志管内仁木町に苗木を移して育てたもので、当たり年だったという。72年に540本、73年に2500本製造したが、エリザベス女王が口にしたという72年を求める声であっという間に在庫がなくなり、「最終的に6本ほど残ったのではなかったか」(廣瀬さん)という。
ワイン城は2020年にリニューアルした際、1階のショップや試飲コーナーの配置を見直す中で、過去のお宝品を集めた展示スペースを作った。その一角でセイベル9110の白ワインがボトルとともに並んでいる。
佐野寛所長は「もうワイン自体は褐変(茶色に変色)し恐らく飲めないような味になっているのだろうと思う。思いがけない形で脚光を浴びて驚いている」と話している。
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