工藤寿樹氏

　任期満了に伴う来春の函館市長選をめぐり、現職の工藤寿樹市長（７２）が４選を目指し出馬を検討していることが６日までに分かった。関係者が本紙の取材に明らかにした。１６日の第３回定例市議会終了後、正式表明する方向で最終調整を進めている。

　工藤氏はこれまで定例記者会見などの場で４選に向けた態度を明確にしていない。出処進退が注目される中、工藤氏は８月下旬、新型コロナウイルス禍や物価高に対応する総額２５億円超の緊急支援対策を打ち出した。

　所得制限を設けず来年４月以降の高校生以下の医療費を無償化することなどは政策的な要素が濃いことから、本来であれば来年度以降の予算化が想定されるもの。今回前倒しで具体化したことで「出馬するのは既定路線」（関係者）という観測が強まった。

　市民の間では「４期は明らかに多選」と否定的な意見もあるが、工藤氏は、収束が見通せないコロナ対応など市政課題の解決に向けた姿勢を示して出馬への地ならしを進め、４選出馬を期待する経済界と水面下で調整しているとみられる。関係者によると、２０～２２日に記者会見など何らかの形で表明する見込みだ。

　また、工藤氏の後援会（室田晴康会長）は、コロナの影響で２０、２１年と２年続けて開催していなかった政治資金パーティーを１０月２７日に開くことを決め、立候補へ態勢を固めているもようだ。

　一方、俳優・大泉洋さんの実兄で前函館市保健福祉部長の大泉潤氏（５６）が７月に出馬する意向を表明し、市長選出馬に向けた準備を進めている。工藤氏は大泉氏を秘書課長、観光部長、保健福祉部長と主要ポストで起用してきた経緯があり、２氏による選挙戦となれば〝師弟対決〟となる。

　工藤氏は１９４９年、乙部町出身。早大卒。７３年に旧亀田市に採用され、函館市との合併後は財務部長、企画部長、助役・副市長を歴任。１１年の市長選に出馬し、現職の西尾正範氏（故人）を破って初当選。１５年は新人の広田知朗氏を抑えて再選、１９年は新人の武田春美氏に勝って３選を果たした。