幌内川にベニザケ遡上 北大大学院の二村さん発見 母川を間違った?
苫小牧市高丘の北大苫小牧研究林内を流れる幌内川で28日、元気よく遡上(そじょう)するベニザケが見つかった。北大大学院博士後期課程3年生の二村凌さん(26)=苫小牧市在住=がサクラマスの調査をしていて偶然、発見した。サケは海に出た後、生まれた川に戻ってくる本能があるが、幌内川には本来生息しておらず、二村さんは「遡上場所を間違ったのか」と首をかしげている。捕獲して千歳市のサケのふるさと千歳水族館に提供し、30日から展示されている。
捕獲したベニザケは体長43・5センチ、重さ1・1キロの雄で、背中あたりが見事な深紅に染まっている。
二村さんは雨天の28日深夜、研究林内のサクラマスの調査場所に足を運んだ。雨が降るとサクラマスの移動が活発になるため、川辺をライトで照らし探していたところ、真っ赤な魚体が目に飛び込んできた。サケ・マスの調査研究のため道から特別採捕を許可されている二村さんはベニザケと直感し、網ですぐに捕獲した。「幌内川でサクラマスの研究を5年続けているが、ベニザケを見るのは初めて」と驚く。
遡上したサケが繁殖時期を迎え、魚体が赤みを帯びてくるのは通常8~9月ごろで、見つかったベニザケはすでに赤みが濃く出ている。二村さんは「ロシアの河川では6~7月に産卵するベニザケもおり、もしかしたらロシアから来たかもしれない」と推測。水槽に入れて29日夜、自ら水族館まで運んだ。
同水族館は「ベニザケはサケの中でも、生まれた川に戻る母川回帰性が強い魚。この時期に、赤みが出ているのも、とても珍しい」と話す。
同水族館で生きている間は展示し、死後にDNAや耳石などを調査し、生まれた川や海に出た時期を探る計画。二村さんは「今後の研究に役立てばうれしい」と期待を寄せる。
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