アイヌの食事について【平取】
【平取】町主催のシシリムカ文化大学第2回講座「アイヌの伝統的生活文化の再発見第2回」が16日、町中央公民館の会場26人、オンライン50人の計76人が参加して行われた。
講師は、北日本文化研究所代表、北海道食育コーディネーター、アイヌ文化伝承者の藤村久和さん。考古学から民俗学を専攻、研究対象はアイヌの人々が伝承してきた 文化全般(暮らしと言葉、さまざまな儀礼など)にわたる。小学校教諭を経て、北海道開拓記念館研究員、北海学園大教養部教授、同人文学部教授、同大学院文学研究科教授を歴任。著書「北海道民具辞典Ⅰ・Ⅱ」、「アイヌのごはん―自然の恵み―」を発刊している。
この日は、「アイヌの人たちの食事について―その源流をさかのぼる―」のテーマで講演。自然の恵みとともに生きてきたアイヌの人たちの食の源流をさかのぼり、その精神文化を学んだほか、アイヌの人たちの食材や種類の豊富さを学び、現代の食を見つめなおし、今後のアイヌ文化環境保全対策事業やイオル再生事業、平取の観光振興などに生かすことを目的に開催。
アイヌの伝統ある食事については、 ユネスコが「世界の伝統ある食事を見直そう」と提唱し、国・道が2022、23でまとめる。
講義では、アイヌの人たちの主食は魚(チェプ)で、魚がなければ生きていくことが出来なかった。特にサケは秋に獲るものだが、儀式として7月の七夕に天の川にかかる星を観察し、その年のサケ漁を占ったことなどを紹介した。
また、三日月湖や沼に「ヒシの実」、「小魚」を放流して食べ物を調達して塩味を付けたり、発酵させたりして山菜を天日干しにし、漬物にしていたことや、調味料についても話した。
藤村さんは「先人の知恵に学ぶことが沢山ある。山も川も人も生きれるようみんなで良く考え、明るい世界になれることを願っている」と強調した。
最後に遠藤桂一町長は「アイヌの人たちは自然から食物をとっていた。今の日本の食料自給率は37%と脆弱な仕組みになっている。自然の恵みのあり方を考える時、食品ロスの問題、ごみの減量化などを含めて参考になった」と話した。
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