マンロー博士の遺徳を偲ぶ【平取】
【平取】「マンロー先生を偲ぶ会」が5日、町内二風谷の旧マンロー邸庭の顕彰碑前で3年ぶりに開かれ、ゆかりの関係者・老人会、研究者ら26人が参加し博士の遺徳を偲んだ。
スコットランド人の考古学者で人類学者ニール・ゴードン・マンロー博士(1863年〜1942年)は、日本人の起源やアイヌ文化に興味を抱き、考古学調査のかたわら多数のアイヌ工芸品や民具を収集した。
一方で当時、結核などの病気や栄養失調に苦しむアイヌの人々の窮状に胸を痛め、1932年に平取町二風谷に移り住み、無償の医療奉仕をしながら研究にいそしんだ。
多くの村人から慕われた博士は、“イオマンテ”に代表されるアイヌ民族の精神世界をつぶさに観察するなど研究に没頭したが、42年4月11日に二風谷で78歳の生涯を終えている。
マンローが世を去った後、チヨ夫人はその後二風谷を離れ、館は転売されるなどして荒れ果てた。心を痛めた英国大使館の参事官らが私費で買い上げ、66年、北海道大学に寄贈。大規模な改修を経て翌年、文学部付属北方文化研究施設二風谷分室として開所した。
この日、マンロー博士のただ一人の末裔で孫娘のアイリーン・マンローさん(ドイツ・リューベック在住)とスカイプで偲ぶ会の様子を伝えたり、会話を楽しんだ。
貝澤耕一同会運営委員長は「博士と関わる人がほとんどいなくなっているので、“偲ぶ会”という名を変えた方が良いなどの意見も出ているが、次年度に向けて検討。今日は、アイリーンさんとの会話などを楽しみたい」とあいさつ。
来賓の遠藤桂一町長は「ちょうど没後80年。今日のような偲ぶ会を脈々と続けられるということは、マンロー博士の大きな存在を強く感じる。知る人はいないが偉業について語り続け、偲ぶ会が続くことを願っている」とあいさつした。
参列者は一人ずつ真っ赤なカーネーションを厳かに遺影の前に献花し、博士の遺徳を偲んでいた。
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