ばんえい効果61億円 ネット増も波及薄く15年度比1億円減【帯広】
帯広市が主催する「ばんえい十勝」の2020年度開催に伴う十勝への経済波及効果額が約61億円となった。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う巣ごもり需要の影響で、馬券の発売額が前回調査時の15年に比べ大きく増加したが、効果額は約1億円の減少となった。馬券の売り上げの90%以上がインターネット投票で、十勝経済に影響を与えるには至らなかった。
経済波及効果額は、調教師や騎手らの人件費を含む開催経費などの運営支出や、飼料などばん馬の生産にかかる生産支出、ばんえい競馬来場者による消費支出(交通費や宿泊費)を基に算出。市から業務を受託した帯広畜産大学の耕野拓一教授と窪田さと子助教が調査した。
前回調査時の15年度は62億6873万円だったのに対し、20年度は9834万円減の61億7039万円。内訳をみると、運営支出は15年度比で約2倍の20億9405万円に増加。生産支出は飼育頭数減少に伴い、4171万円減の4億7481万円で、消費支出は3億1199万円増の27億2025万円となった。
本場の入場者数は前回調査時と比べ12万988人減の16万1944人となった。新型コロナウイルスの影響で来場者数が半減した一方、1人当たりの消費支出は約2倍となっており、耕野教授は「コロナ禍で遠方への旅行ができず、近場で高価な旅行を楽しむという傾向が表れている」と話す。
本場とネット発売の合計額は483億5278万円で、前回調査時と比べ3倍以上の売り上げとなっているが、内訳はネット発売分が9割以上を占めた。本場発売分はコロナの影響から減少傾向で、前回調査時から5億7787万円減の9億325万円だった。
馬券の発売額が増加した一方で、経済波及効果額が前回と同様の水準にとどまっている点について、耕野教授は「インターネット馬券の購入が、十勝の観光に影響を及ぼす仕組みができていないため」と分析している。
市ばんえい振興室は「ばん馬と観光の結びつきが経済にもたらす波及効果は大きい。ばんえい競馬を市の観光資源として生かすため、いかにして観光客を増やすかが課題だ」としている。
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