給油設備を増強 新千歳国際線 年度内に完了
北海道エアポート(HAP、千歳市)は、管理・運営する新千歳空港の国際線駐機場で、埋設管給油方式のハイドラント設備の拡張を進めている。新型コロナウイルス流行の影響で、2020年3月下旬から国際線で定期便の運航ゼロが続いた中、再開後を見据えて2年がかりで基盤を整備してきた。国際線は6月にも再開する見通しだが、工事は今年度中に完了する予定で、HAPは「反転攻勢につなげたい」としている。
ハイドラント設備は、燃料を埋設した配管で送油し、地面の給油口から航空機に補給する、国内空港では一般的なシステム。新千歳も国内線で採用しているが、国際線はタンクローリーで燃料を運び、給油する旧来型が主流だった。駐機場の増設に伴い18年度、ハイドラント設備を3地点で初導入した。
拡張整備は、旧来型で運用していた6地点。21、22年度に約10億5000万円を投じ、100%子会社の千歳空港給油施設が工事を進めている。直径約40センチ、肉厚12・7ミリの電気防食規格の鉄製配管約860メートルを地下2メートルの深さに埋設し、21年度は2地点、22年度は4地点の給油口を設けている。
新千歳の国際線はコロナ前、インバウンド(訪日外国人旅行者)をはじめ需要が右肩上がりとなっていたため、航空機利用で混雑する駐機場での拡張整備も難しいと思われていた。しかし、コロナ禍で20年3月下旬から、国際線の定期便ゼロが続いたことで、皮肉にも整備が順調に進み、HAPは「国際線の現状を未来志向で活用している」と説明する。
同設備の導入で▽給油時間の短縮▽給油車両の削減▽給油作業スタッフの人手不足解消―の効果を生み、コスト削減にもつながる見込み。給油時の安全面の向上や二酸化炭素の排出削減も期待でき、HAPは「将来に向けた基盤整備。増便の受け入れ体制強化にも寄与できる」と強調する。6月中に国際線が再開しても、給油口の半数は整備済みのため、工事には支障が出ない見通しで、12月までの完了、全面使用開始を目指している。
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