苫小牧海保 初の女性署長就任 蓮見さん「後輩の目標に」
苫小牧海上保安署の署長に第1管区海上保安本部(1管)では初の女性署長となる蓮見由絵さん(49)が就任した。全国でも2人目。6日に同署で辞令交付を受けた蓮見署長は「苫小牧の海の治安と安全を守っていきたい」と抱負を語った。
室蘭海上保安部の荻野和之部長から辞令書を受け取った蓮見署長は訓示で「苫小牧港は北海道最大の港で物流の要」と強調。「苫小牧だけでなく、北海道を守るために自覚と誇りを持って仕事に取り組んでほしい」と職員に向けて語った。
室蘭市出身の蓮見署長は船に乗る仕事に興味を持ち、入庁を決意。1996年3月に幹部候補を養成する海上保安大学校を卒業。1管で交通部安全課長、本庁の交通部で航行安全企画官を務めるなど交通に携わる部署で経験を積んだ。
航行安全のエキスパートとして苫小牧港の安全を守りたい考えで「港の利用者に安心してもらえるように仕事をしていきたい」と意気込む。荻野部長も「航行安全について本庁や本部、現場のすべてを知っている数少ない人材」と期待する。
海上保安庁の全職員のうち女性は3月1日時点で1295人。全体の8・9%にとどまり、女性職員の女性比率の低さや離職は依然として課題となっている。蓮見署長は「大きな目標は定年退職すること」と大まじめに話す。「(後輩たちが)10~30年先のキャリアがどうなっているか見えるようにしたい。女性でも定年まで働けることを自分が証明できれば」と力強く語った。
蓮見署長は2006年から4年間の育児休暇を取得し、2度の出産を経験したが、入庁当初は出産を断念することも考えたという。「育休を取ることも勇気が必要だった。国の政策で取りやすくはなってきたが、制度をより使いやすくするために自分が一つのサンプルになればいいと思う」と、後に続く者への期待も込めた。
はすみ・よしえ 1972年、室蘭市出身。胆振管内への赴任は8年ぶり。前任は東京海上保安部次長。趣味はミュージカル鑑賞。
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