春風に揺れるおとひめこんぶを見る岡山さん

　函館市椴法華地区に春の訪れを告げる、養殖マコンブ「おとひめこんぶ」の水揚げが進んでいる。黒口浜一帯で育成した一年もの促成マコンブで、春の浜風に揺れてあめ色に輝く。今年の漁期は２３日まで。

　銚子町のコンブ漁師、岡山潤也さん（４４）は３月１０日に水揚げを開始。午前５時に船で沖に出て、手作業でコンブを採取。同７時に自宅に戻り、家族やパート従業員総出で１枚ずつ干す作業に励む。天日で７割まで乾燥し、室内の乾燥機で仕上げると、良質な製品が出来上がる。天日干しの際はコンブの長さが２メートル５０センチあり、風の循環が必要なため、風のない日は漁を休むという。今年は１１回漁に出る予定で、乾燥重量で５００キロを生産する。

　岡山さんは「最初はコンブの大きさにばらつきがあったが、今になって大きさがそろってきた。海水温が低く、コンブの生育が例年より少し遅れたようだ。雪解け水のミネラルを吸って栄養満点。おでんや煮しめなど煮物に料理すると、柔らかくおいしい」と話す。

　乙姫さまの衣が海上に浮いたように見えることから、おとひめこんぶの名前が付いた。春の食材として全国から注文が来る。