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十勝毎日新聞

更別農高「ナタ菌」採取 道内初、研究継ぎ6年目【更別】

 更別農業高校の生徒らでつくる研究グループが、ナタデココづくりに必要な菌「ナタ菌」の採取に成功した。東南アジアの温暖な気候下で採取されることの多いナタ菌に関する専門的な研究は国内で珍しい。同校によると、ナタ菌の採取は少なくとも道内初。今後は道内大手菓子製造メーカーと協力し、ナタデココを使った菓子「ブラン・マンジェ」の販売にも乗り出す考えだ。

研究に参加した都築さん(前列中央)ら。都築さんが手に抱えるのはナタデココ

 同校では2~3年次の授業内でプロジェクト学習を行っており、10のプロジェクト別に生徒がテーマを選んでいる。プロジェクトの一つ「加工A」では2016年から、酢の研究を始め、酢を使ったソースを考案、販売している。

酢酸発酵に失敗 原因に「菌」の存在

 加工Aで酢の研究を行っていた同年、クラゲのような厚い膜ができるなどし、酢酸発酵に失敗。学外の専門家に相談したところ、この膜の正体はナタデココで、酢酸菌の一種・ナタ菌が失敗の原因ではないかと指摘を受けた。

 当時の生徒たちは、日本で珍しいとされるナタ菌の採取に挑戦したが断念。昨年4月にナタ菌と見られた菌が死滅したのをきっかけに2~3年生が「先輩の研究を終わらせてはいけない」と一念発起。「ナタ菌の採取」を目標に、研究を復活させた。

ジュースに酢加えまいた土から3株

 加工Aの生徒たちは16年の採取失敗時のアプローチを見直し、トマトジュース、リンゴジュースに酢を加えた液を校内の畑など7カ所に散布。1~2週間程度で、液をまいた場所それぞれの土を培地に加え、32度に保って反応を確認した。その結果、校内に自生するヤマブドウが落ちていた付近の土を混ぜた培地から、ナタ菌の特徴とされる菌膜が出現。昨年9月ごろ、帯広畜産大学でPCR検査を行ったところ3株のナタ菌を確認し「SARANATA菌」と名付けた。

 発見したナタ菌を使ったブラン・マンジェは試作を既に終え、食感も高評価を受けるなどし、内容が固まった。同校のプロジェクト学習の一つ、福祉分会でも、高齢者が食べやすい食品としてナタデココに注目。喉に詰まりにくく、水分や栄養が豊富とあって、村社会福祉協議会とも連携し、配食サービスなどを通じて高齢者にブラン・マンジェを届ける構想も生まれた。

 同校では今後、菓子メーカーと協議しながらパッケージデザインや商品名を決め、10月に幕別町内で開催予定の食と健康のイベントで販売する予定。そのほか、村内の「かっこう料理店」で4月以降に提供できるよう準備を進めている。

「本当に驚き」 温暖化も影響か

 研究のリーダーを務めた2年の生徒らは「まさかナタ菌が見つかると思っておらず本当に驚きだった。今後は味のバリエーションを増やせないかさらに研究を進めたい」と話している。

 温暖な東南アジアで採取されるナタ菌がなぜ寒冷地の十勝で採取されたのか。生徒の研究を支援する菊池直樹教諭は「専門家の方のアドバイスも踏まえてだが、地球温暖化の影響で生態系が崩れていることも関係しているのかもしれない。なぜ見つかったのかの原因は分からない」と話している。

<ナタ菌>
 酢酸菌の一種。フィリピンではココナツを使ったナタデココづくりが始まった後にナタ菌を使ったナタデココ製造が広がったとされている。ナタデココは食物繊維が豊富で低カロリーのため健康食としても期待されている。

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