キングサーモン養殖、10月から海面養殖試験開始へ【函館】
魚類の養殖技術確立を目指す「函館市魚類等養殖推進協議会」(会長・嵯峨直恆函館国際水産・海洋都市推進機構長)の今年度3回目の会合が24日、市国際・水産海洋総合研究センターで開かれた。今年度から取り組んでいるキングサーモン(マスノスケ)の完全養殖事業について、これまでの研究成果と新年度の事業計画を公表。7月には海面養殖を行うための浮沈式いけすを市内の沖合約1・5キロ地点に設置し、10月からサクラマスを使った試験養殖を開始する。
同事業は市と北大大学院水産科学研究院、函館国際水産・海洋都市推進機構などの共同研究で、希少価値が高いキングサーモンの国内初となる完全養殖を実現することで、天然資源依存の漁業からの脱却を目指す。
初年度は昨年4~6月に南かやべ漁協管内の定置網で捕獲した天然キングサーモン56匹を入手し、このうち5匹から採取した精子を凍結保存。同年11月に、北大が飼育した人工キングサーモンの卵と人工授精を行い、稚魚約130匹がふ化した。現在は人工キングサーモン同士による稚魚約130匹とともに、同センター内の水槽で飼育している。新年度も新たに天然キングサーモンを入手し、天然魚同士の人工授精も試みるなどし、種苗生産技術の研究を進める。
また、昨年11月から今年1月にかけて、成魚に育てるための浮沈式いけすを設置するための事前調査を大森町、釜谷町、古武井町、銚子町の市内4カ所の沖合で実施。最高水温と最低水温、最大流速などのデータを基に、今月中に設置場所を決定。7月から設置作業に取り掛かり、10月にはサクラマスを使った試験養殖を開始する。
このほか新年度からは、優れた品質を持ち、環境負荷低減を考慮した飼料の開発や、種苗の病原体対策技術の確立など、事業化研究にも着手。目標とする26年度の完全養殖技術確立に向け、各研究機関と地元漁業関係者が一体となって事業を進めていく。
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