浦川太八さんが地域賞受賞【浦河】
ポーラ伝統文化振興財団(小西尚子理事長)はこのほど、事業の一環である「伝統文化ポーラ賞」の2021年度の受賞者を決定し、工芸分野で浦河町の浦川太八さん(80)が地域賞を受賞した。アイヌ木工芸の伝承・制作が評価された。
同賞は伝統工芸技術、伝統芸能、民俗芸能・行事など、無形の伝統文化の分野で貢献し、今後も活躍が期待される個人・団体に対し、さらなる活躍と業績の向上を奨励することが目的。今回で41回目となる。
表彰は優秀賞2件、奨励賞2件、地域賞4件で北海道からは浦川さんのみの受賞となった。浦川さんは長年にわたりアイヌ民具の制作に精通し、その中でもマキリ(小刀)づくりの匠として著名だ。また、国立民族学博物館やアイヌ民族文化財団の依頼を受けてアイヌ民族資料の制作や複製に協力する一方、アイヌ木工芸品の後継者育成などにも尽力していることから今回の受賞となった。
マキリの柄や鞘にはアイヌ文様が施され、その作業は精緻な細かい習熟した技術が表れている。町内西幌別の西幌別共同作業場を工房にし、彫る作業は切り出しナイフを使用。同タイプのナイフを数本用意して刃先が丸くなってくると変えながら1本1本丁寧に作業。浦川さんの手によって整えられた美しい文様は美しさを求めるのみではなく、作品を通じてアイヌ文化を伝える。マキリは1本あたり2~3週間かけて作成し、山猟や川漁で使用するという。
浦川さんによると、40年以上前に山で狩りを始めるにあたり、解体するときにマキリが必要と考え、自分で制作しようと思ったことがきっかけと振り返り、受賞は「作品を評価されたことをうれしく思っている」と話した。
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