北海道ニュースリンクは北海道の参加新聞社がニュース・イベントを配信するサイトです

苫小牧民報

フェリー無人運航に成功 日本財団が実証実験 苫小牧―大洗間の750㌔ 労働負荷軽減に期待

日本財団(東京)は、船舶の無人運航の実証実験を進めている。2月上旬に商船三井フェリーの「さんふらわあしれとこ」(1万1410トン)を使用し、苫小牧港―大洗港(茨城県)間の約750キロで無人運航に成功した。世界最長距離の実証実験とされ、関係者から安全性の向上や船員の労働負荷削減へ期待の声が聞かれた。

苫小牧で無人運航の実証実験を行った「さんふらわあしれとこ」(日本財団提供)

 同財団によると、実験は「MEGURI2040プロジェクト」の一環。2019年4月に東京でセミナーを開き、無人運航船について分野横断的に議論できるプラットフォームの設立などを提言していた。企業単独では実現が難しかったが、同財団が結節点の役割を担い五つのコンソーシアム(民間共同体)を組み、21年度から全国で実証実験を展開している。

 苫小牧の実験は、船舶に従来搭載しているAIS(自動船舶識別装置)とレーダーに加え、新たに開発した自動離着桟システムや陸上モニタリング用のAR(拡張現実)を活用。通常は船員が目視で行う他船の確認を、カメラやセンサーによりAI(人工知能)で認識できるようにした。

 2月6日午後10時ごろ、「さんふわらあしれとこ」が苫小牧港を出港。船長や航海士、システム開発の担当者が乗船し、船長が危険と判断した場合、通常の手動操船に切り替えることにした。大きなトラブルはなく、約18時間30分後の7日午後4時30分ごろ、大洗港に到着した。

 実証実験は成功したが、同財団は「AIがまだ完全なものではない」と気を引き締めるとともに、「無人運航に関する法律が整備されておらず、今後、検討の必要がある」と指摘する。同プロジェクトでは25年に無人運航船の実用化を目指し、今後、コンテナ船や水陸両用船を使用した実験を行う。

 同財団の海野光行常務理事は「大型フェリーで無人運航技術が可能となれば、船員の負担軽減に大きく貢献できる」と期待し、商船三井の山口誠執行役員は「船員不足やヒューマンエラーの削減のために、今後も技術開発を続けていく」と述べた。

 北海道と本州を結ぶフェリーは物流面で重要な役割を担う一方、1回の航行時間が長く、船員の労務負担が課題。国土交通省の統計で、船員数は11年に6万7086人だったが、20年には6万4034人と減少している。

関連記事

苫小牧民報

保存処理のため奈良へ 国立アイヌ民族博物館 苫小牧で発見の丸木舟2隻 本格的..

苫小牧市弁天の海岸で2021年に見つかり、白老町の国立アイヌ民族博物館で脱塩、乾燥が進められていたアイヌの丸木舟「イタオマチプ」(板つづり舟)2隻の処理が終了し、文化財の保存修復を手掛ける奈良県の...

苫小牧民報

Jファーム 直売所を再開 規格外のミニトマト格安販売 苫小牧

苫小牧市柏原で植物工場を操業するJファーム苫小牧(石島武社長)が今年、ミニトマトの直売をビニールハウス内の一角で行っている。昨年は会社の運営体制見直しに伴って直売所を全休したが、常連客らの強い要望...

十勝毎日新聞

「倉庫」バー再開 元地域おこし協力隊の芳野さんマスターに【芽室】

 芽室町内の赤れんが倉庫を改装したバー「守破離」(町東2ノ1)が5月から通常営業を再開している。マスターを務める元地域おこし協力隊の芳野都馬さん(26)は「れんが造りの雰囲気がとても良いバー。バ...

十勝毎日新聞

「まちなかキッチン」一般開放 調理や食事可能 元CA齋藤さんら運営【中札..

 中札内村が役場旧庁舎跡地に新設した「まちなかキッチンスタジオ」が13日から一般開放される。レンタルキッチンや加工調理室などを備えた施設を管理・運営するのは、村内の合同会社カランメール(齋藤実子代...

十勝毎日新聞

子リスくわえお引っ越し? 神田さん宅【中札内】

 中札内村の神田誠さん・美紗さん宅の物置に、エゾリスとみられるリスの親子が住み着いている。親リスが子どものリスをくわえて物置に出入りする様子を目撃した長女(9)=中札内小4年=は「子どもを運んで...

CATEGORY記事カテゴリー

MEDIA参加新聞社

ARCHIVE月別記事リスト

RANKINGアクセスランキング

  • 週間アクセス
  • 月間アクセス