海事記念館で糸魚沢駅の歴史を紹介【厚岸】
JR根室線の糸魚沢駅が11日、103年の歴史に幕を下ろす。町海事記念館では9日から、同駅の解説シートやポストカードを無料配布し、地域住民の生活を支えた駅の歴史を紹介する。
「糸魚沢」はアイヌ語の「チライ・カリ・ペッ(イトウ・通う・川)」を漢字に充てた名で、1870年に5戸が入植以来、地域のアイヌ民族と共に開墾し、酪農や炭鉱業などで発展した。同駅は1919年に開設。60年には年間乗車数3万5991人、発送貨物は8918㌧に上り、物流の拠点として繁栄した。71年には貨物の取り扱い廃止、84年には無人化。2015年には現駅舎の使用を開始した一方、人口減少などで年々利用者が減り、16~20年の1日当たりの平均乗車数は1・4人まで落ち込み、今回のJRのダイヤ改正に伴い廃止が決まった。
解説シートはA4判カラー両面で、海事記念館と釧路市立博物館の学芸員が編集し「釧路臨港鉄道の会」(星匠会長)が発行。同駅の略年表や連動図表、当時の地図や切符などを掲載する。同会では道内駅舎のボールペン画を数多く手掛けた山宮喬也さんが描いた新旧駅舎のポストカード2種も製作した。また根室の「夢空間☆花咲線の会」(鈴木一雄代表)は駅のホーム写真と釧路町在住の画家でイラストレーターのMナオキさんのイラスト入りのカードなど2種を作製した。 海事記念館は9日から、解説シートとカード4種を来館者に数量限定で無料配布するほか、最終営業日の11日は同駅でも午後2時すぎから午後8時31分釧路行きの最終列車が運行するまで、希望者に配る。
菅原卓己学芸員は「糸魚沢は炭鉱で栄え、郷土芸能『厚岸かぐら』が伝わる地域。廃止は残念だがこれまでの感謝を込めて、地域の歴史を知ってほしい」と話している。問い合わせは同館0153(52)4040へ。
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