真冬の深夜発生を想定【えりも】
【えりも】町と浦河警察署(佃正広署長)の合同による地震・津波避難訓練が2日、えりも岬と庶野両地区で行われ、両地区住人約160人が参加して防災への意識を高めた。
訓練は、真冬の深夜に、太平洋三陸沖を震源とするマグニチュード9の日本海溝型巨大地震(えりも町は5強)が発生し、気象庁がえりも町沿岸全域に最大20㍍以上の「大津波警報」を発表したことを想定。
この日は、午後5時5分に町の防災行政無線から、両地区住民に大津波発生に伴う避難を広報。メイン地区のえりも岬(135世帯、約400人)では、ほどなく海抜55㍍の襟裳岬第1駐車場へ車が続々と到着し、警察官と消防支署、町職員の誘導で約70台が整然と駐車した。
浦河署の中谷真悟警備係長は、避難完了時間を30分と想定していたが20分弱で完了したことを高く評価しながら「津波ではまず高台に逃げる意識を持続することと、冬には防寒対策用具をすぐ持ち出せるよう用意しておくこと」と強調。
大西正紀町長は、最終避難所のえりも高に通じるえりも中側からの道路整備計画について述べるとともに、「大津波による被災では、長期間になる避難所生活への対応と、様似・広尾両町への国道不通による物流の途絶が懸念されることから、国と道に地域の実態を訴え続けて代替道路の確保に全力を尽くす」と、災害に強いまちづくりへ意欲を示した。
訓練に参加した地元の阿部友哉さん(30)は「えりも岬地区は過去に大津波で被災し、犠牲者もでているので住民の防災意識は高い。今回の訓練でさらに大津波対応への関心が高まった」と話した。
庶野地区では、低地にある中央・東庶野両自治会(119世帯)会員が、高台の庶野サクラ公園へ車25台、60人が避難訓練に参加して防災への意識を高めあった。
翌3日には、大西町長と佃署長が、1933年(昭和8年)3月3日深夜にえりも岬を襲った「昭和三陸地震」の惨事を後世に伝えるために建立した襟裳神社近くの記念碑に献花して、地区駐在所警察官、自治会役員とともに犠牲者を追悼した。
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