原油11万キロリットル放出へ 苫東備蓄 全量の1・7% 経産省
経済産業省は16日、苫小牧市と厚真町にまたがる国内最大の国家石油備蓄基地、苫小牧東部国家石油備蓄基地の原油約11万キロリットルを売却すると発表した。定期的に行っている油種入れ替えの前倒しで対応するが、1984年の同基地操業開始以降、事実上初めての放出となる。同日付で入札公告を始め、3月9日に入札し、4月20日以降に落札者に引き渡す。
原油価格の高騰を受け、政府が米国と協調して実施する国家石油備蓄放出の第2弾。2月9日に志布志国家石油備蓄基地(鹿児島県)の原油約10万キロリットルを入札しており、今回は苫東の原油約11万キロリットル、ENEOS喜入基地(鹿児島市)の原油約15万キロリットルを同時に売却する。
苫東石油備蓄基地は地上タンク57基で、原油を国内消費量の約14日分、約640万キロリットルを保管している。今回はタンク2基から、全量の約1・7%相当分を放出。4月20日~8月20日の払い出し期間中、荷役1回で落札者に引き渡す。
苫東石油備蓄苫小牧事業所(苫小牧市静川)に原油管理を委託している独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は「いつでも緊急放出できるよう体制を整えている」とし、「油種の入れ替えは定期的に行っており、落札者が決まればこれまで通り安全に原油を受け払いしたい」とコメントした。
政府は現行の石油備蓄法に反しない形で、備蓄油種の入れ替えに伴い、備蓄目標の「余剰分」となる国内消費量数日分を売却。国家石油備蓄基地は苫東を含めて全国10カ所あり、昨年12月末現在の原油総備蓄量は146日分(4547万キロリットル)で、目標90日分程度を上回っている。
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