硬貨入金有料化に悲鳴 駄菓子屋・慈善団体【十勝】
ゆうちょ銀行が17日、硬貨を預け入れる際などに枚数に応じて掛かる「硬貨取扱料金」を新設した。この影響で、大量の小銭を扱う駄菓子屋や、寄付を募る団体などは頭を悩ませている。全国各地にある身近な金融機関ゆえに、有料化は深刻のようだ。
新設された硬貨取扱料金は例えば51~100枚の場合、硬貨の種類を問わず窓口で550円、ATMで330円が掛かる。
「売上金でこれほど手数料が掛かるのはどうも…」。もやもやを募らせるのは、菓子店「お菓子のたにぽん」を経営する谷保製菓の谷保祐司社長。同社は企業向けの菓子箱の設置や、道内約200台の自動販売機の管轄などの事業も展開。一部の地域でゆうちょ銀行を利用しており、「1日で何千枚もの硬貨が出るので大変困っている」と嘆く。
扱う駄菓子は子どものことを思い、できるだけ安価に設定。1円単位の端数が出る商品も多い。「最終手段は値上げしかないと思うと心苦しい」と谷保社長。「時代はキャッシュレスだが、子どもがお金の“重み”を知るためにも、現金の文化も大事にしたい」と話す。
帯広市社会福祉協議会によると、「赤い羽根共同募金」は同銀行を含む、各金融機関で募金を預ける手数料は免除されている。
一方で、免除の対象外とされたのが「公益財団法人北海道盲導犬協会」(札幌)だ。盲導犬の育成は、多くの人の善意で支えられている。飲食店や病院などに設置されている「ミーナの募金箱」に入っている硬貨の多くが1~10円玉。手数料が募金額を上回るようでは、「本末転倒だ」(同協会)。
設置者の負担をなくすためにも、手数料は募金の中から出す方針。「どの町にもある金融機関なので、一番利用されていた。免除にならないか相談しても、銀行側は『基準と照らし合わせた結果』の一点張り。解決の糸口が見つからない」と漏らした。
大量の小銭は神社のさい銭箱にも集まるが、十勝管内のある神社は「一部の金融機関で、さい銭の入金は免除される。管内で困っているところは少ないのでは」と話した。
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