アスベスト分析事業化 機器そろえ被害防止強化 野崎重機【帯広】
野崎重機建設興業(帯広市、野崎正博社長)は、本社内でアスベスト分析機器を導入し、検査事業を始めた。昨年4月に一部施行された大気汚染防止法改正に伴うアスベスト被害防止強化を受けた新事業。同社によると、建設業者が自ら分析を行うのは珍しい事例という。
大気汚染防止法の改正では、今年4月1日以降に着工する一定規模以上の建築物や工作物の解体等工事で、アスベストが使用されているか事前調査し、都道府県に電子申請する必要がある。対象が吹き付け型から全てのアスベスト含有建材に拡大したのも特徴。
同社は建物解体業を請け負っており、金銭面での負担軽減と他事業者からの需要を見込み、新規事業を決めた。野崎社長は「分析には専門知識が必要で、最初は『無理だ』と言われたが、毎日6時間は勉強して分かるようになった」と苦労を話す。専門家の助言を受けながら分析技術を身に付け、同社単独でアスベスト判定が行えるまでに技術を高めた。
電子顕微鏡など合わせて1500万円分の機器を導入。実体顕微鏡や偏光顕微鏡も使用し複合的な検査体制を整えている。一般的な分析調査は結果まで1~2週間かかるが、同社では持ち込まれた試料を数日で速報している。今年4月以降、全国的にアスベスト分析が混み合うことも予想される中、業者の見積もり作成に役立ててもらう狙いがある。
アスベスト吸引と関連がある中皮腫による死亡者は2009年に1466人となり、20年間で約3倍に増加している。全国でアスベストを含む建物解体には今後40年以上かかるとみられている。
野崎社長は「アスベスト被害を受けているのは、建設業者よりもそこで暮らす一般市民だと言われている。分析技術を生かしスムーズに解体作業ができるよう事業の幅を広げていきたい」と話している。
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