表彰状を手に受賞を喜ぶ能登さん

　函館市内に８０歳で現役を続ける美容師がいる。サカエ美容室（松陰町）を経営する能登サカエさん。６７年に及ぶ美容業のキャリアは函館随一で、かつらの結い上げ、花嫁着付け、整髪など第一線で活躍する。美を追求する意欲は衰えず「健康な限り、美容の道を走り続けたい」と話している。

　能登さんは１９４１年、厚沢部町出身。函館道南理容美容学校、東京綜合理容美容専門学校を卒業し美容師の資格を取得した。

　中学卒業前から美容の仕事に携わり、５４年４月から川又美容院（函館）、カノウ美容院（厚沢部）、田中千代美容室（東京）での勤務を経て、６４年１２月に現在地にサカエ美容室をオープンした。

　婚礼かつらの結い上げ技術は業界の第一人者として知られるほか、得意分野の婚礼着付けでは、独自に開発した「着崩れを防ぐベルト」を使い、花嫁の体に負担の少ない着付けを工夫している。また、経営者として現在まで７０人以上を一人前の美容師に育て上げた。

　これまで大きな病気をしたことがなく、かかりつけ医もないという。元気の秘訣（ひけつ）について、能登さんは「美容の仕事が大好きなこと」と強調。仕事はもちろん、縫い物が趣味で、常に手先を動かし健康維持につなげている。

　２０１０年１１月には市技能功労者表彰を受賞。１１年３月にベルクラシック函館で開いた祝賀会には２００人が集まり、人生で一番の思い出になった。

　新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛の長期化は美容業界も直撃し、同店の利用者はコロナ以前と比較し３分の１に減った。能登さんは「高齢者の常連が多いので、特に影響が大きい」と話す。

　能登さんは高度な美容技術の提供が認められ、今年度の道産業貢献賞（卓越した技能者）を受賞。１１月１８日に札幌市で表彰状を受け取った。能登さんは「道の名誉ある賞をもらい、感謝。受賞は夢にも思わなかった」とした上で「健康な限り一生美容師でいたい。松陰町会副会長も務めているので、地域が良くなるよう貢献できれば」と意気込んでいる。