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室蘭民報

「大成功に終わった」 室工大、人工衛星「ひろがり」成果報告【室蘭】

ひろがりの開発に携わった大阪府大の学生と記念撮影する(右から)長さん、佐藤さん、アンさん

壮大な実験「夢ある分野」

 室蘭工業大学と大阪府立大学が共同開発した超小型人工衛星「ひろがり」の成果報告会が6日、オンラインで行われた。2月に国際宇宙ステーション(ISS)へ打ち上げられ、3月に宇宙空間へ放出されてから、地球の軌道上で全てのミッションを達成。学生たちは「大成功で終わることができた」と壮大な実験を振り返った。

 ひろがりの大きさは、縦横10センチ、高さ20センチ、重さ2・5キロ。2016年(平成28年)から開発が始まり、20年10月に完成。室工大が衛星の特徴的な実験を行うミッション機器、大阪府大が電源、通信、姿勢制御系など基本的な機能のバス機器を担当した。

 室工大は、学生が中心となって大きな紙を小さく畳む日本伝統の折り紙工学「ミウラ折り」を応用。実験に用いる厚さ2ミリのプラスチック製パネルを計16枚継ぎ合わせた12センチ四方の厚板・2次元展開板構造を開発した。

 3月14日にISSから宇宙空間へ放出された後、電波が取得できないなどのトラブルを克服し、4月4日にパネルの展開に成功した。以降は構造の計測試験を行い、展開を促進するタケノコバネの伸展により、折り目が明瞭になっていることを確認した。

 成果報告会では、同大大学院研究科2年のアン・イヨンさん(26)=マレーシア留学生=と長飛洋さん(25)、同大卒業生で名古屋大学大学院工学研究科1年の佐藤伸成さん(23)が、2次元展開板構造展開ミッションの運用結果について説明した。

 アンさんは「宇宙空間での実験で失敗も成功も経験できたのは、本当にまれなケース。大学で人工衛星開発の夢が達成できた」。長さんは「大学に進学したときは、こんな大きなプロジェクトに関わるとは思っていなかった。宇宙での実験は厳しい環境だったが、夢のある分野で楽しかった」と充実感を漂わせた。

 ひろがりは当初想定より長い来年6~12月まで運用される見通し。2人の卒業後も観測を続ける佐藤さんは「宇宙ではどんなことが起きるか分からない。うまくいくのは良いが、われわれを考えさせてくれることが起きると研究者として楽しめる」と最後まで見守る。

 学生たちを指導してきた室工大航空宇宙機システム研究センター長の内海政春教授は、同大初の人工衛星開発に携わった9人の学生・卒業生に「本当にお疲れさま、おめでとうの一言」とねぎらい、「われわれの仕事は学生の力を伸ばしてあげること。やる気に火をつけてあげれば、学生の力は駆けるように伸びていく。学生がやりたいことをやらせてあげることができて良かった」と話していた。

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