スルメイカ10月136トン 低水準続く【函館】
函館市農林水産部がまとめた市水産物地方卸売市場での10月の生鮮スルメイカ取扱量は、前年比32%(33トン)増の136トンとなった。漁が解禁した6月から10月までの合計も431トンと、統計の残る2005年以降で最低だった20年(378トン)を14%上回ったが、低水準に変わりはない。10月の1キロあたりの平均単価は同18%(142円)安い685円だった。
同部によると、10月単月の取扱量は18年以降、3年連続で過去最低を更新しており、前年を上回ったのは17年以来。取扱金額は同9%増の9317万円。小型イカ釣り漁船の出漁日数は昨年より2日少ない23日だった。6~10月の合計では、取扱量431トンは過去2番目に少なく、金額は3億1443万円と05年以降で最低を更新。単価は730円で、前年より15%(120円)落ち込んだ。金額は漁期の前半に魚体が小さかったことや、新型コロナウイルス禍で需要が減退したことが影響したとみられる。
同部は「10月は18~20年の数量を上回ったとはいえ、厳しい状況に変わりはない。11月に入って前浜でもイカが捕れ出したが、しけで出漁できない日が多い」という。
道総研函館水試の試験調査船「金星丸」(151トン、イカ釣り機5台、集魚灯20灯)で今月1~6日に津軽海峡~道南太平洋で実施した漁獲調査では、イカ釣り機1台1時間当たりの漁獲数は0・87匹で、昨年の0・31匹と過去5年平均(16~20年)の0・64匹を上回った。ただ、しけのため函館市木直沖、青森県下北半島東沖、日高管内浦河町沖は調査できず、函館沖だけの調査となった。漁獲したイカの胴長の範囲は15~27センチ(昨年9~25センチ)で、最も多く捕れた魚体サイズは20センチと昨年(12センチと17センチ)、過去5年平均(18センチ)より大きかった。また、津軽海峡東側でのイカの分布目安となる水深50メートルの水温は14~17度で、昨年並み~やや高めだった。
函館頭足類科学研究所の桜井泰憲所長は「11~12月の前浜での水温は、イカの来遊に適した状況になる見通しで、イカがいれば来遊してくるだろう」とする一方で「冬生まれ群は資源量が少ない」と指摘、漁獲が急激に上向く可能性は低いとしている。
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