発明表彰で弁理士会長賞【様似】
【様似】町内の建設業、南組の南修社長が発明した左官工程作業の機械化を実現する技術「左官アシスト」が、公益社団法人発明協会主催の2021年度北海道地方発明表彰で、優れた実施効果と将来性が評価され「日本弁理士会会長賞」を受賞した。南社長は「発明の将来性を評価されたことはとてもうれしい。これを契機に発明した技術を広く知ってもらえれば」と受賞の喜びを語った。
発明協会では、科学技術の向上と地域産業の振興を目的に、全国を8地方に分けて、各地方において優秀な発明、考案または、発明などの実施化や指導育成などに貢献した人物の功績をたたえ顕彰している。今年度の北海道地方での表彰式は、10月29日に札幌市内で執り行われた。
南社長が発明した「左官アシスト」は、左官作業のセメントモルタル吹付から均しまでの工程を自動化したもの。従来は、熟練した左官職人が行ってきた作業の8~9割を機械化。職人による作業は、表面仕上げの最終工程のみとなり、高齢化した熟練工の作業量軽減を図るとともに、経験の浅い若手職人をサポートできる。
全国的に経年劣化している農業用用水路の補修工事が本格化している中、左官職人の高齢化による人手不足は深刻な問題。同社では、これまでに農林水産省の補助事業「官民連携新技術研究開発事業」の認定を受け技術開発を進めてきた。寒地土木研究所、室蘭工業大学、日鉄住金セメントなどとの共同研究に取り組み、自動化が難しいといわれる左官作業の機械化を実現した。
開発した技術は、現在、東北や九州のほか全国各地の農業用用水路の補修、更新などの工事で導入され、農業整備事業の効率化で稲作をメーンとする農業を支えている。
同社は、左官アシストの更なる改良を進め、トンネルなどの曲線部で作業可能な技術も完成させた。南社長は「近年、水力発電ダムの用水路トンネルが老朽化し、電力会社は、効率的な電力供給に向けて迅速なトンネルの改修・補修工事を検討している。そうした工事の需要にも対応していきたい」と今後の技術活用に意欲を示していた。
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