身寄りない人の情報共有 「もしもシート」普及へ 苫小牧
頼れる身内がいない人の急な入院や死亡時の手続きをスムーズに進めるため、苫小牧市と市社会福祉協議会は「もしもシート」の普及を目指している。病歴や家族の状況、収入、緊急時の連絡先など、万が一の時に必要な情報を記入するシートで、市介護福祉課の窓口で配布している。記入や活用の方法を説明する出前講座も積極的に展開する。
もしもシートはA3判二つ折り。氏名や住所、生年月日などの基本情報に加え、(1)自分自身のこと(2)もしもの時の対応(3)自分が亡くなった後のこと(4)もしも治療が難しい病気になったら―の4項目で構成している。
(1)は家族構成や交流の有無、ペットの種類や去勢手術の状況、公共料金の支払い方法、生命保険の契約状況などを記入。収入源やその額、借金額などを書き込む項目もある。(2)は緊急時の連絡先、入院や施設入所時に助けてくれる人の情報、(3)は信仰している宗教や付き合いのある寺院、相続人の氏名、納骨先の希望などを記入する。
表紙には記入日や内容を更新した日の記録欄、医療機関や施設などと情報共有する点についての同意欄も設けている。書き切れない情報を収めるためのA4判の別紙も付いている。
もしもシートは、家族や親族が全くいない人や疎遠な人、事情があって手助けを受けられない人を支援するために作られた。入院時のペットの世話▽介護施設に入所した際や死亡時の居室の明け渡し▽死後の葬儀や事務―などで、本人や周りの人が困るケースが市内でも多発しており、必要最低限の情報を本人と支援者間で共有しておくためのツールとして考案された。
市、市社協、とまこまい成年後見支援センターの職員でつくるプロジェクトチームが昨年5月、在宅介護に携わる人向けに初開催された「身寄りなし問題」の研修会で、試作段階のシートを配布。高齢者や障害者を支援する現場で使ってもらいながら内容やレイアウトの検討を重ね、今年7月に完成させた。
一般社団法人ネットワーク苫小牧主催で先月22日に市民活動センターで実施した出前講座では、約50人の市民が自分の情報を実際に記入。「家族はいるが、自分なりにもしもの時に備える大切さを実感した」「周りの友人にも広めたい」と感想を話していた。
「もしもシート」は市役所1階の同課窓口で配布し、出前講座の依頼も受け付ける。担当者は「項目はシンプルだが、万が一の時に絶対必要な情報をまとめておける。ぜひ活用してもらいたい」と話している。
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