セミナーや学習相談「気軽に」　早期退職し各種資格取得

受講者に学習法などを伝える渡部さん

　「残りの人生、人の役に立つことをしたい」。そう語るのは、脳梗塞を患うも奇跡的に回復し、新たな人生を開いた行政書士の渡部俊昭さん（６６）＝室蘭市港北町＝。これまで培った経験を生かし、「一人でも多くの人たちに簿記や建設業経理士、ＦＰ技能士、法律などの資格取得の支援をしたい」と情熱を傾けている。

　１３年前の９月２７日。「手の動きがおかしい、寝たら治るか」。朝目覚めると良くなるどころか、起き上がることもできず、床を這（は）って階段を下りた。救急車で搬送され、結果は脳梗塞、点滴で一命を取り留めた。

　医師から告げられた「あと少し場所がずれていたら、命を落としていたかもしれない」。右手右足には麻痺（まひ）が残り、歩くことすら困難な状態だった。妻あゆみさんの献身的な介護と懸命なリハビリで身体機能も少しずつ回復した。

　今では、見た目には脳梗塞だったとは分からず、軽いジョギングや文字を書くことも可能に。「自分がなるとは」。先が見えない中「杖（つえ）をついてでも歩ければいい」と前向きな性格で「今の生活がある」と苦笑いする。

　「人の役に立つ」。奇跡的な回復から新たな決意を胸に抱く。定年退職を少し前に退職の道を選び、３年間を建設業経理士やＦＰ技能士など各種の資格取得の勉強時間に充てた。「大変な苦労をかけた。妻には感謝しかない」。

　建設業経理士や日商簿記の資格取得希望者は多いが、効率的で効果的な学習方法を知る機会は少ない。渡部さんが開くセミナーは解答戦略や解き方のコツ、計算用紙の記入法、難解な会計理論、処理の理由が分かる会計の仕組みの「基本」を分かりやすく説明する。

　今年７月、室蘭建設会館で開いたセミナーには建設業界などで働く約２０人の男女が参加。渡部さんは経験を交え、受講生らに「途中で投げ出さず、継続すること」の大切さを説く。受講者からは「もう少し長い時間、教えてもらいたい」「このセミナーでしか学べないことがあった」と好評だった。

　事務系ビジネス資格の無料学習相談などさまざまな対応ができるという渡部さんは「まずは気軽に相談してほしい」と呼びかける。問い合わせは「渡部研修スクール」、電話０８０・５５９５・２２００へ。

「誰かの役に立ちたい」と渡部さん