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釧路新聞

陸揚庫紡ぐ「絵本」発刊 神奈川の木村、広瀬さん姉妹 国後島元島民2世の縁で【根室】

 【根室】国後島元島民2世同士の〝縁〟が絵本という形で実を結んだ。絵本は「根室国後間海底電信線陸揚施設」(通称・陸揚庫)を描いた「遺されたから紡いでいく第2集もの言わぬ語り部」。神奈川県在住の木村裕子さん(63)、広瀬多恵子(60)姉妹と、根室市で陸揚庫の保存活動を続けている久保浩昭さん(55)の出会いから生まれた。絵本は「少しでも琴線に触れ、知りたいと思う人を増やしたい」と結んでいる。

 姉妹は、国後島留夜別村乳呑路(ちのみのち)出身の広瀬多喜子さんの長女と次女。母親は2022年に88歳で亡くなるまで、姉妹に島での生活、ソ連人との混住時代を語って聞かせてくれていたという。

 10年前、母親に同行して自由訪問に参加した際、船内で久保さんと出会った。姉妹の祖父は旧逓信省勤務で、国後島では郵便局で通信業務に従事していた。当時の逓信省が海底ケーブルで根室と国後島を結んでいたと聞き、「久保さんの話に前のめりになった。生前の祖父が見えた気がした」と振り返った。

 絵本を書く契機は母親の一周忌が過ぎた昨年、「2世として何ができるだろう」と考え、木村裕子さんが〝思い描き美笑(みお)〟というペンネームで母親の思いを絵本「遺されたから紡いでいく」にまとめた。この絵本は、今年2月7日に東京で開催された北方領土返還要求運動全国大会の席上、木村さん本人の朗読で紹介している。

 昨年、洋上慰霊に参加するため来根した木村さんが久保さんと再会、この第1集を見せたところ、「陸揚庫の話も書いてよ」と依頼され、1年がかりで完成させた。木村さんは「絵本なので詳しくなくていいと思い、入り口となり『もっと知りたい』という人が一人でもいたらいいなと思い書きました」と話した。

 久保さんは「戦後79年、来年の節目を前に良い物ができた。優しい絵と文は北方領土や陸揚庫へのとっかかりとして活用できる」と喜んでいる。

 今年の第3回洋上慰霊に参加した2人は、本の完成を石垣雅敏市長にも報告。石垣市長も「返還運動、陸揚庫の周知にも活用できそうだ」と応えた。巻末には市製作の陸揚庫プロモーションビデオ、千島歯舞諸島居住者連盟根室支部かけはしの会公式チャンネルのQRコードがついている。

陸揚庫の絵本を石垣市長に報告した(前列右から)木村さん、広瀬さん姉妹

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