水産業専門人材育成へ 北大共創センターが演習 若者定着図る【函館】
北大地域水産業共創センターは、函館市の基幹産業である水産業の専門人材育成に向け、北大水産学部など市内4高等教育機関の学生を対象に「水産学演習」を展開している。演習では専門家をはじめ、生産者や事業者による講義を通じ、水産業の現場を知り、若者の地域定着につなげるのが狙いだ。
演習は、産学官連携でキングサーモン、マコンブの完全養殖確立を目指し、市などが推進する函館マリカルチャープロジェクトの「CREEN人材育成プログラム」の一環で昨年度から試行的に実施。北大、函館大、公立はこだて未来大、函館高専の4機関が参画し、今年度は6~12月に全10回開講。学生が講義や現場研修を通じ、養殖のコンブ、サーモンの種苗生産や加工の現状に触れ、学びを深めている。
8月29日に北大函館キャンパスであった第5回の講義は、コンブを使った製品の製造、卸売りを手掛ける丸善納谷商店(市新川町)取締役専務の納谷太郎さんが講師を務めた。
コンブの生産量は国内の約95%を北海道が占める。「コンブの成長には寒流が大事で、北海道の冷たい気候は合っている」とした一方「函館のマコンブをはじめ、天然コンブは減少し、ほとんどが養殖になっている。生産量も減少し、海水温の上昇だけでなく、生産者が減っていることも要因」とした。
学生は南茅部~椴法華地区の「白口浜昆布」、椴法華~戸井地区の「黒口浜昆布」、戸井~旧函館地区の「本場折浜昆布」と産地によって名称が異なるマコンブのだしを飲み比べ違いを体感した。
後半の第6回以降では、講義で感じた課題や疑問点を基に解決策を考えるグループワークに取り組み、演習を総括する。地域水産業共創センター特定専門職員の三瓶真さんは「大学の講義ではなかなか得られない現場の声を通じて課題に触れ、学生として何をできるか、解決方法を考える機会になれば」と話している。
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