「原種黒千石」広めたい おかだ農園【浦幌】
「十勝うらほろおかだ農園」の岡田愛啓さん(75)は「原種黒千石」の普及に力を入れている。3年前には札幌のNPOが、同農園で栽培する黒千石に北海道大学が特許を取得した原種黒千石と同様の免疫増強成分が含まれていると太鼓判を押した。岡田さんは「豆の持つ栄養価や価値を知ってもらい、理解者を増やしたい」と話す。
岡田さんは2011年に町内で、免疫学者で北大教授(当時)の西村孝司さんの講演を聴いた。その際、西村さんから一握りの原種黒千石を分けてもらったのを機に栽培を始めた。
黒千石大豆はタンパク質や抗酸化物質、食物繊維を多く含む。西村さんは10年、北海道で受け継がれてきた黒千石には、がんや感染症に対する免疫力を高める「インターフェロンγ」をリンパ球に産生させる成分が多く含まれていることを発見し、特許を取得した。
一方、西村さんによると、現在道内で収穫されている黒千石の多くは、黒千石と黄大豆を掛け合わせた品種改良品という。肥料のやり方など栽培方法によっても免疫性が失われることもある。
こうした状況を受け、西村さんが理事長を務めるNPOイムノサポートセンター(札幌)は3年前、道内各地で栽培されている黒千石大豆について調査。その結果、品種改良した黒千石には強い免疫活性成分は含まれていないことが分かった。
一方、同農園の黒千石大豆には昔のままの活性成分が含まれていることを確認。同センターではこうした商品を「原種黒千石」と定義し、認定している。
黒千石は収量が少なく、岡田さんは栽培農家を増やそうと発信に努めている。多くの町民に知ってもらおうと、3月には町内の学校給食にも提供した。
同農園の原種黒千石や原種黒千石を使った加工品は、同農園のネット通販、道の駅うらほろで販売中。一部の商品は通販大手「アマゾン」でも扱っている。
販売価格は原種黒千石(450グラム2袋、1400円)など。
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