ペンギン化石 新種と判明 現生と原始のはざま NZで発見【足寄】
足寄動物化石博物館(安藤達郎館長)は7月31日、、ニュージーランドのオタゴ大学が同国で1987年に発見した化石は新種で、最小級のペンギンの中では最古と発表した。今回の化石は、現在生息するペンギンと大型だった原始的ペンギンのはざまにいることが分かり、研究リーダーの安藤館長は「ペンギンは大きな海洋環境の変化をさまざまな形で乗り越えた進化の教科書。今回の化石は水中生活への適応進化を知り、生態解明のために重要」と話した。
同館とオタゴ大、岡山理科大学の研究チームが確認した。化石は同国南島のオタゴ地方の採石場で、安藤館長のオタゴ大留学時代の恩師であるユワン・フォーダイス教授(昨年11月死去)らが2400万年前の地層から発見した。安藤館長も2007年に博士号を取得した際の論文の一部で触れるなど関心を持っていた。
同教授が退官したことなどを契機に、安藤館長が声を掛け、22年に研究チームを立ち上げ、昨年に岡山理科大の林昭次准教授らも加わって計7人で解析を進めていた。
翼の上腕骨と尺骨、大腿(だいたい)骨の計3個を調べた結果、翼の肩関節は現生ペンギンに近く、肘関節は原始的なペンギンに似ていることが判明。この組み合わせは、これまでにない初めてのものから新種とした。
研究論文は1日付の同国で最も権威のある国際学術雑誌(王立協会誌)に掲載された。マオリ語とギリシャ語の造語で「小さい潜水者」を意味する「パクディプテス」と命名。体高30~35センチ、体重は約1キロで、現在生息している中で世界最小のフェアリーペンギンと同じぐらいの大きさとなる。最小級サイズのペンギンは同ペンギンなど現生で3種、化石ペンギンで1種が確認済みで、5種目の今回の化石は最古。
また、骨密度を調査した結果、パクディプテスはフェアリーペンギンと同様、浅い海で泳ぎ、潜水していた可能性もある。
安藤館長は「昔と現在のペンギンは、特に翼の骨の形が大きく異なり、現在のような形と機能を持つようになった過程は未解明のままだった。今回の化石はその間を埋める鍵となる」と、さらなる研究を進めていく。
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