渋沢紙幣 町の誇り “最速”披露、町内お祝い一色【清水】
20年ぶりとなる新紙幣の発行が始まった3日、新1万円札の新たな顔となる渋沢栄一が町の開拓の礎を築いた清水町はお祝いムードに包まれた。同日午前に開かれた町主催の発行記念式では、十勝管内でほぼ最も早く新1万円札がお披露目された。町民からは「すごく光栄なこと」「早く近くで見て触りたい」などと期待と喜びの声が上がった。
同町の本格的な開墾は、「日本近代資本主義の父」と称される渋沢が1898(明治31)年に十勝開墾合資会社を設立し、26戸の小作人を熊牛地区に入植させたのが始まり。
町は新しい1万円札の肖像に採用され、大河ドラマのモデルにも決まった2019年から、改めて渋沢ゆかりの地としての地域おこしに注力。23年11月には渋沢にゆかりの深い全国の12自治体・団体による「渋沢栄一翁の顕彰に関する包括連携協定」に加入するなど機運を醸成してきた。
3日午前11時から町文化センターで開かれた発行記念式には、町民ら300人以上が詰め掛け、新1万円札の発行を祝った。同11時20分ごろ、阿部一男町長と北洋銀行清水支店の矢萩利浩支店長が、町名にちなみ記番号の下3桁「432(しみず)」が刻まれた新1万円札をお披露目すると、会場は歓声に包まれた。
阿部町長は「肖像画の発表から5年3カ月、待ち望んでいた発行の日をようやく迎えることができた。皆さんと共にお祝いし、渋沢翁の功績を後世に伝えていきたい」とあいさつ。阿部町長の掛け声で、町内の小中学生や関係者らがお祝いのくす玉を割った。
この日は、「渋沢」の焼き印が入ったステーキ定食や海鮮丼、どら焼き、パンなど町内7飲食店で記念商品の販売を開始するなど、町全体がお祝いムード。同町在住の石川キヨ子さん(75)は「早く発行されないかとわくわくしていた。(手に入っても)もったいなくてしばらくは使えない」と新紙幣の発行を喜んだ。
午後6時からは、現在も渋谷牧場の牛舎として使われている、渋沢が設立した十勝開墾合資会社の畜舎を、渋沢の生家にちなんだ藍色にライトアップする。
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