神奈川の高校生、領土学ぶ 千島連盟・福沢支部長講話【標津】
【標津】修学旅行で町を訪れた神奈川県立光陵高校(横浜市、岸川浩幸校長、生徒数942人)の2年生が6月26日、北方領土学習を町文化ホールで行った。千島歯舞諸島居住者連盟(千島連盟)標津支部の福沢英雄支部長が語り部を務め、島での暮らしぶりや終戦時の混乱などの講話を通して改めて平和の尊さを学んだ。
同校2年生の修学旅行は行き先を北海道か鹿児島県屋久島どちらかを選択でき、今回は320人中175人が来道。この日は、弟子屈町から移動し、町内での活動は南知床標津町観光協会(井南進会長)がコーディネートを担った。生徒たちは3班に分かれ、ポー川史跡自然公園でカヌー体験や散策、しべつ海の公園で投げ釣りなども体験した。
午後からは教員らを含む140人が北方領土学習に臨んだ。福沢支部長ははじめに、北方領土が国後、色丹、択捉各島と歯舞群島で構成されていることや自らが歯舞群島の多楽島出身であることを紹介。同島は良質なコンブに恵まれ、ほとんどの島民が水産業に従事し経済的に豊かに暮らしていたと説明した。
1945年9月2日に「見たこともない怪しげな軍艦が島に接近してきて恐怖と不安におののいた」と話し、銃を持ったソ連兵に家中を物色されたことや「島民が1カ所に集められて銃殺される」などのデマ情報が流れ、断腸の思いで北海道に逃れてきたことなど当時を振り返った。
そのほか、かつて行われていた日ロ間ビザなし交流などの様子を画像で紹介したほか、福沢支部長の私物であるロシアの民族衣装や毛皮などを生徒たちが着る場面もあった。
参加した呉明恵さん(16)は「北方領土の話は知っていたが、元島民の気持ちを考えたことがなかった。きょうの講話で戦争は国家間の問題だけではなく、それぞれの国民の生活に影響するので、しないのが一番だと学んだ」と話していた。
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