29日まで田辺三重松展 函館生まれの巨匠 大自然描く【函館】
はこだてギャラリー(時任町22、落合良治社長)は、明治から昭和にかけて活躍した函館生まれの日本画壇の巨匠、田辺三重松(1897~1971)の作品展を29日まで開いている。落合社長が個人所有する珍しい水彩画から、北海道の大自然を描いた迫力の風景画まで約50点を展示する。
田辺は、函館商業学校時代に日本画家北條玉洞の指導を受け、21(大正10)年には道内初の美術団体・赤光社の設立にかかわった。28(昭和3)年に二科会に出品し初入選を果たし、42(同17)年に二科賞を受賞。戦後は、行動美術協会などの創立にかかわり、画業に専念した。49(同24年)には北海道文化賞を受賞している。
落合社長が収集した素描や水彩画約40点を展示(期間中入れ替えあり)。大雪山や層雲峡など自ら道内各地を歩き気に入った風景を描いた。観光地化される前の荒々しい大自然が切り取られている。市内のコレクターが秘蔵していた田辺の作品も初めて公開している。
中でも油絵「軍艦大和」は、戦後提供された写真を参考に描いたとされ、臨場感が伝わる力作。田辺の幅広い表現力を堪能できる。
入場無料。午前11時~午後5時(会期中無休)。同社長は「田辺は、巨匠でありながら生涯にわたって各地に足を運び自然の美しさを表現することにこだわった。函館が産んだ偉大な芸術家の力強いタッチと大胆な色使いを、じっくりと味わってほしい」としている。
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