サケ・マス漁代替 曳き網3年ぶり再開【根室】
【根室】ロシアの排他的経済水域(EEZ)内で禁じられたサケ・マス流し網漁の代替として、日本漁船が行う試験操業(曳(ひ)き網)が2021年以来、3年ぶりに再開される。ロシアのウクライナ侵攻の影響で中断を強いられていたが、操業条件などを決める日ロ政府間協議が妥結。地元関係者は試験操業の再開を喜ぶとともに、今後の本格操業にも期待を込めている。
ロシアのウクライナ侵攻による中断前の21年に比べ、漁獲割当量はベニザケ、シロザケが減少する一方、カラフトマスが増加し、入漁料は約2・8%増。ベニザケ10㌧(21年15㌧)、シロザケ20㌧(同24㌧)、カラフトマス90㌧(同81㌧)、ギンザケ3㌧(同)、マスノスケ2㌧(同)。入漁料は2500万円(同2432万5000円)、操業期間は6月1日~7月31日までの期間のうち、36日間(同)。
同漁は同水域での流し網漁禁止の代替漁法として、16年に水産庁の委託を受けた調査船が出漁、ベニザケ312㌔など合計4・4㌧を水揚げ。17年からは海洋水産システム協会(東京)と水産研究・教育機構(横浜)の共同企業体から委託を受けた富山県船籍の中型船「第68善龍丸」(199㌧)が着業し、ベニザケ782㌔を含む12・8㌧を水揚げした。
漁具の改良、漁場や操業時期を変えるなど試行錯誤して操業を続け、18年は全体で47・7㌧(ベニザケ3㌧)、19年は27・6㌧(同2・7㌧)、20年は27・6㌧(同2㌧)、21年はベニザケ3㌧を含め過去最高の88・2㌧を水揚げしたが、ウクライナ侵攻の影響で22、23年の2年間中断していた。
操業を行う善龍丸は、今週中にも宮城県気仙沼港から花咲港に回航する予定。出漁時にはロシア側のオブザーバーも以前と同様に乗船する。
石垣雅敏根室市長は「伝統ある『北洋サケ・マス操業』の権益および試験操業の機会が確保されたことにただただ安(あん)堵(ど)しております。今回の試験操業がロシア水域でのサケ・マス漁業の実用化に結び付き、操業再開へ向けた礎となることを強く望んでいます」とコメントした。
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