売り出せ大黒島、無人島キャンプの計画も インフラツーリズム、国の事業採択【室蘭】
唯一無二の地域資源を活用
観光庁の補助事業・地域観光新発見事業に、室蘭みりょく向上プロジェクト実行委員会の取り組みが採択された。大黒島を舞台にしたキャンプを計画しており、室蘭にある唯一無二の無人島を地域資源として売り出したい考えだ。
大黒島は、絵鞆岬から約1キロの海上にある周囲約700メートルの無人島。室蘭八景の一つでクロユリが咲く島として親しまれている。江戸時代後期、幕府による蝦夷(えぞ)地調査の紀行ではすでに大黒島と記されていた。50年ほど前までは室蘭港の道しるべとして灯台が稼働しており、2022年度には旧大黒島灯台(室蘭灯台)を含む室蘭港港湾施設群が土木学会選奨土木遺産に選ばれている。
市や室蘭観光協会などでつくる実行委は過去に白鳥大橋を活用したインフラツーリズムの展開でスクラムを組んでおり、今回は大黒島の有効活用を目指す。内航海運のスターマリンに委託する計画。
大黒島は過去に市民団体の清掃活動などが行われていたが、ツアーなどでの上陸以外では基本的に立ち入りできない。老朽化もあり、今回の事業では階段の手すりの改修なども盛り込んでいる。参加者に食材を用意して、一日を過ごしてもらう―との内容だ。島内には立ち入りできない場所もあり、今後内容を詰めて具現化していく方針だ。
大黒島には電気や水道がないが、魚釣りは可能という。ランタンの明かりを頼りにキャンプを楽しむほか、暗闇の中での“サバイバル”生活といったコアなファン層の注目を集めそうだ。
スターマリンの伊藤京香代表取締役は「大黒島を観光に活用したいと考えている。夜になると大黒島では星がきれいに見られることで、天体観測にもぴったり。通常のキャンプに加えて、無人島に行きたいというニーズを取り込みたい。モニターツアーなどを通して事業化を目指したい」と話している。
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