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網走タイムズ

聖徳太子堂〝令和の大改修〟へ 宮大工伝統の技術を駆使 網走奉賛会「技能継承の場にも」【網走】

建立から100年を機に改修される聖徳太子堂

 【網走】網走神社の境内、網走護国神社の向かいに建立されている聖徳太子堂。「技能の神様」として聖徳太子をまつっているが、建立から1世紀が経ち、老朽化が激しいことから、聖徳太子網走奉賛会(石川信弘会長)が実行委を立ち上げ、改修工事に着手している。作業には、古来から伝わる宮大工の技術「木組み」が必要で、熟練の技を持つ匠が、網走地方高等職業訓練校で各部の木材を加工した後、現地での改修作業を始める「令和の大改修」。同実行委は「7月の例大祭までに改修を終わらせ、お披露目をしたい」と話している。

「大工の神様」聖徳太子

 十七条憲法の発布や冠位十二階の制定など、日本史に大きく名を残し、たびたび肖像画が採用されたことから1万円札の代名詞にもなっている聖徳太子(厩戸王、574―622)だが、あまり知られていないのが「大工の神様」として全国の聖徳太子堂にまつられていること。

 大工道具として今でも使われている「差し金」を中国から持ち込んだのが聖徳太子とされ、これにより、接合部分を差し金1本で作り上げる「規矩術」が広まり、日本の高度な木造建築技術が出来上がったという。

 そのため、大工の神様として全国に聖徳太子堂が建立され、建築や技能に関わる人たちによって守られている。

1世紀の歴史ある聖徳太子堂

 網走の聖徳太子堂もそのひとつ。1921(大正10)年、永専寺の境内、現在の鐘撞(つき)堂のところに建立されたのが始まり。その後、1960年代に今の網走神社境内に移設された。

 市内の建設業や左官業、板金業、木工業など建築技能に関わりの深い約20の企業などでつくる同奉賛会は毎年7月21、22の2日間、例大祭を行って神事のほか宝探しなどの催しを行っている。これも、かつては「太子講」として中心街の通行を遮断するなどまちを挙げて盛大に行われたという。

 しかし、これまで大きな改修は行われてこなかったことから老朽化が激しく、同奉賛会は100年を機に改修を計画。当初は建立100年となる19年に着手する予定だったが、新型コロナの影響で延期されていた。昨年、コロナ規制が緩和されたことから改修費用の寄付を募り、改修に取りかかることができたという。

改修に生きる匠の技

 改修といっても、釘や接着剤などを使って組み立てる現代建築と違い、使われているのは木材の端を複雑な形状に加工し、互いをはめ合わせることで組み上げる「木組み」という宮大工の伝統技術。

 以前は多くの宮大工がおり、寺社仏閣の建築や改修などで活躍したが、現在はその技術を継承している人は少なくなっている。

 今回の聖徳太子堂改修には、市内で宮大工の技術を持つ3人の匠が担当しているが、古い建物のため平面図しかなく、堂に使われている木材を一つ一つ正確に測って図面を起こすなどの苦労もあったという。

日本伝統の技術「木組み」の加工を施す大工

 一方、図面を基に木材を必要な形状に加工する作業は、さすが宮大工と感心させられる仕事ぶり。研修ではなく、実際の仕事の中で用いられる木組みの技法を見られるとあって、木組みを学びたいという市内の若手技能者も、作業の見学に訪れるという。

 同訓練校での作業はほとんど終わり、今後は現場での改修作業に着手する予定。石川会長は「宮大工の技術で『大工の神様』聖徳太子堂を今後100年は持つものにしたい。宮大工の技術を間近で見られる良い機会なので、併せて技能継承の場としも生かしていきたい」と話している。

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