大須賀さん認定 白老町伝統文化継承者、アイヌ語の方言を研究【白老】
「素晴らしさ知って」
白老町教育委員会は、町指定無形民俗文化財「町伝統文化継承者」に大須賀るえ子さん(83)=緑丘=を認定した。言語区分では2人目。白老地方のアイヌ語方言研究を通して、アイヌ文化の周知に大きく貢献したことなどが評価された。4日には認定書授与式が本町の町コミュニティーセンターで開かれた。
町教委などによると、大須賀さんは白老町生まれで、熊狩りの名人と呼ばれた白老の伝統的アイヌを代表する宮本イカシマトクを祖父に持つ。
1941年、むかわ町に転居。23歳ごろに白老に戻り、ポロトコタンで母が経営していた民芸店で長年勤めていた。「50歳になるまでアイヌ語は一切分からなかった」と大須賀さん。旧アイヌ民族博物館の学芸課長から誘いを受け、外部講師を招いたアイヌ文化の講座を受講し始めた。
徐々に言葉の意味が分かるようになり、興味を持ち始めた。90年からは「白老アイヌ語教室」に通った。98年には「白老楽しく・やさしいアイヌ語教室」を立ち上げたほか、ウエペケレ(昔話)など口承文芸筆録の翻訳などに力を注ぎ、翻訳本なども多数出版している。
大須賀さんは「皆さまに評価していただき本当にうれしく、心よりお礼を申し上げる」と感謝。「アイヌの物語の素晴らしさを多くの人に知っていただきたい。できるだけ頑張る」と述べた。
認定は1月16日付。町教委からの諮問を受け、町文化財等運営審議会(川西政幸会長)が選考基準に基づいて選考し、答申した。
安藤尚志教育長は「白老町の匠として、今後もお元気でご研さんされ、アイヌ文化の魅力と素晴らしさを広く発信していただくことをご期待申し上げる」と祝った。
陣屋町の仙台藩白老元陣屋資料館では、きょう9日から31日まで町伝統文化継承者展「白老アイヌ語伝承者大須賀るえ子」を開催し、大須賀さんの出版物や原稿資料など約80点を展示する。
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